学生や社会人が音楽する上でよく聞く言葉で気になる言葉がいくつかあります。

「音程合わせて」
「もっと大きく吹いて」
「もっとはっきり吹いて」
「もっと息のスピードあげて」
「口の中を開けて吹いて」

パッと思いついたものでもこれくらい。指導者としてこういった要求をする気持ちはわかります。

おそらく、

「(音程が合っていないから)音程合わせて」
「(音が聞こえないから)もっと大きく吹いて」
「(音の出だしが聞こえないから)もっとはっきり吹いて」
「(そうすれば高い音が出るだろうから)もっと息のスピードあげて」
「(なんだか響きのない音だから)口の中を開けて吹いて」

大体()のような意図があってのことと思います。

しかし、受け取る側が言われてもどうしたらいいかわからない場合もあります。

例えば、「もっと大きく吹いて」と言われて(なるほどもっと息をたくさん吐けばいいのか)とだけ受け取って、闇雲に息の量を増やしても、音程は跳ね上がり、音量は大きくなったように感じる割に遠くには届かない荒れた音になるだけです。

それはなぜかというと、そもそどうすれば大きな音が出るか理解している人は少ないからです。

それは実際に多くの人をレッスンしていて「大きな音を出す=息を吐く量を増やす」だと思っている人が多いことを知ったからです。確かに息の吐く量を増やすことは必要なのですが、それだけだとどこかに無理は生じやすいです。

 

ではどうしたら効率良く大きな音を出せるのか。

  • 息を吐く量を増やすのか
  • 息の出口を小さくするのか
  • 息の通り道を狭くするのか
  • 狭くするならどうやって狭くするのか
  • 舌の位置を変えるのか歯と歯の隙間を狭くするのか
  • そもそも提案された側はどこまで理解しているのか
  • 現在何を選択して演奏しているのか。

 

たった「もっと大きな音で吹いて」の一言のアドバイスでも、これくらい選択肢がありますし、もっとたくさんあるかもしれません。それなのにお互いわかっているよね、という感じで共通語のようにこの言葉が頻繁に交わされるってぼくならなんだか不安になってしまいます。

アドバイスする側、アドバイスを受け取る側は、共通語として飛び交っている言葉たちを、お互いがどこまで理解しているのか一度考えてみてほしいのです。

 

もっと大きく吹いて、という提案に応えるためには奏者が少なくとも、どういった仕組みで音は大きくなるのか、自分に今足りないものはなんなのか、現状に加えて何をプラスしたらよくなるのか、を分かっていたいし、提案する側も(これくらい幅広い意味のあることをひっくるめて言っている)って知っていながら言えると、いいんじゃないかと感じています。

とは言え、「もっと大きく吹いて」という提案で実際に音が大きくなって演奏が変わることがあるのも事実。ここらへんが難しいのですが、経験上これでよくなるかどうかはほとんどギャンブルです。もちろん、奏法に関して熟知し、成熟した奏者であればこの限りではありません。

 

音楽する上でよく聞く言葉は他にもたくさんありますが、それを提案する側とされる側の共通語として使うには難しい言葉がたくさんあるように感じます。

「口の中をもっと開けて吹いて」というアドバイスにしても、歯と歯の隙間をあけるのか、舌を下に下げるのか、軟口蓋のあたりをあけるのか、はたまたそれらの組み合わせなのか、それともイメージなのか、その提案自体があてずっぽうなのか。様々ですよね。音程にしてもそうです。

ぼくも提案する側として、使う言葉に気を付けていますが、どれだけ気を付けていても、どこかでズレが生じているかもしれないことを、いつも心に留めています。

完璧ではなくても、どこかでいつも(お互い同じ理解で話は進んでいるのだろうか)と考えていることが、健康的に音楽するために必要なことなんじゃないか、そう思うからです。

 

 

 

それではまた。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

ごんざ ゆういち

国立音楽大学卒業。ホルン奏者。講師。 自身が長い間、心身ともに不健康な状態で音楽と関わってきた経験から「健康的に音楽と関わる」をコンセプトに多方面で活動中。 現在アレクサンダー・テクニーク勉強中。