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チューナーを見ないでピッチを合わせるチューニング方法

楽器を吹く人は一生の付き合いになる、ピッチ。
ピッチには気を使うし悩みますよね。

今回は、ピッチを目で見てわかる、「チューナー」との付き合い方について。

正しいピッチをキャッチして楽しく楽器を吹こう。

チューナを見てピッチを合わせても、それは合っているとは言えない問題

今の時代、どこの団体でも、皆一人一つはチューナーを持っていますよね。最近はメトロノームとチューナーが一体になっている物も多くて便利です。(関連記事:おすすめのチューナーのの話

常にチューナーと楽器をマイクにつないで目で見ながら練習している学校もあります。

でも目で見てピッチを合わせても、あまり意味がないんです。

耳で聴いて目で確かめるか、目で見て確かめるだけかで全然別物に

ある時こんな事がありました。
中学校でホルンパートのレッスンをしていたときのこと。

いつもやっているハーモニーづくりの練習を聴かせてもらいました。吹いている生徒を見ると、全員チューナーを見ながら楽器を吹いています。

見ながら吹いているわけですから、やがてピッチは合ってもいいはずですが、いつまでたっても音たちは合いません。

チューナーで数値的には合っているのかもしれませんが、大人数で吹いているときは、それだけではダメなのです。

ではどうすればいいか。
チューナーの電源を切ってもらい、困惑気味の生徒の顔を見て見ぬ振りして、もう一度吹いてもらいます。
 一回目、ちょっとばらばら。
そこで一つ提案してみました。
「周りの音を聴きながら、もう一度吹いてみよう」
 そう提案してから吹いてもらうと、さっきより大分まとまりました。
このとき、チューナーはつけていなかったので、針が真ん中だったかはわかりません。
でも、何人もが一つの音を奏でるにはまず、
「聴く」
それだけでも音がよってくるのです。
その上で、効果的にチューナーを使うにはどうしたらいいか。

パート内で1人だけチューナーを使う

例えば、各パートの1stを吹いているプレーヤーが、いいピッチで演奏できれば、他のメンバーはその音をよく聴く事で、全体が更にまとまると考えます。
では個人個人がいいピッチで演奏するために、どういった練習をしたら日々よくなっていくか。
ここで一つ、練習方法を紹介したいと思います。

チューニングはゲーム感覚で

この練習方法は、ぼくが大学卒業後にほんの少しだけ、ミュージックアンドメディアアーツ尚美(現、尚美ミュージックカレッジ専門学校)ディプロマ科に通っていた時に、オーケストラスタディーの授業で、ファゴット奏者の中川良平先生に教わった練習方法です。

 【C・A・P】“チューナーの上手な使い方”

( C・A・P→ Catch-a-pitch )

用意するもの

    1. 自分自身とその「耳」
  1. ウォームアップをすませた、自分の楽器
  2. チューナーを440(442)にセットする

順序

    1. 「ひとつのピッチ」をチューナーからだし、よく耳を傾けて聞く。「そのピッチ」をとらえた!と思ったら、チューナーのスイッチを針が答えてくれる方に切り替える。
    1. そのまま今聞いたピッチを、自分の楽器で吹きのばす。
    1. 吹き続けながら「ヨシッ」と思ったら目を開けて、針の位置が正しいかどうか、みてよろしい。
  1. 合っていても外れていてもすぐに吹き止めないこと。その時の演奏状態を観察し続ける事。次回のために。3回続けてストライク(当たり)が取れるまで繰り返す事。
基本的な練習方法は以上ですが、中川先生はこの練習方法について、こうもおしゃっています。
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 耳を常に使用する「CAPトレーニング」は、単なるピッチやイントネーションの進歩だけではなく、奏法の全てを助けてくれるものなのである。

音程は合わせるものではない。

それは、耳を使って捕えるものであり、それを正しく、自分の楽器を通して再生する行程から、演奏の第一歩は踏み出されるのである。
ある一人の人間の目から入ったリンゴは、その人の体を通過して、手から絵筆を通して、リンゴとしてカンバスの上に現れる。
これを画家の場合とすると、耳から入ったリンゴは、口からリンゴとして出てくるのが管楽器奏者の場合のはずである。
入ってきたリンゴがナスビになって飛び出していないかどうかチェックし続ける方法、それが Catch-a-pitch ゲームなのである。
それによって得られた「絶対音色感」(絶対音感ではなく、楽器が最良の状態で鳴り響いている音色を絶対に知っていること)こそが奏者にとって最も大切なこととなる。
以上の理由によって、一流の奏者は、常にTunerを保持して、自己チェックを欠かさないのである。
なお、「CAPトレーニング」の目的は、あくまで健全な奏法を身につけることにあって、奏者を440(442)に調律することを目的とはしていない。
音程とは、最終的には「各音感の程よい距離」であることを忘れず、「ひとつのピッチを正しく捕えるゲーム」を行っている、という自覚を持ち、いたずらに「Tunerの奴隷」になる方向に走らないように留意すること。

音程は合わせるものではなく、耳を使って補えるもの 

 普段の合奏で鳴らされるハーモニーディレクターの音も、聞いてイメージしてから吹く、
このほんのちょっとした工夫で、今までよりしっかりピッチが合うようになります。
ぜひ試してみてください。
それではまた!

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