「基礎はできているけど、曲に繋がっていないね」
かつて、レッスンでそう言われて途方に暮れた日のことを、今でも鮮明に覚えています。自分なりに毎日ロングトーンをして、リップスラーをして、基礎練習はこなしているつもりだった。でも、いざ曲を吹くとそれが全く活きてこない。
あの時の絶望感と、そこから抜け出すための長くて苦しい試行錯誤のすべてが、この度一つの形になりました。
作曲家の石倉雄太氏と共に創り上げてきた7つの練習曲が、この度一つの曲集『THE LANDSCAPE -7つの練習曲-』として完成しました。今日は、この本に込めたぼくの祈りのような想いと、なぜ今、この形で世に出す決断をしたのかを語らせてください。
なぜ7曲を統合し、単曲展開を終了したのか
これまで、「木漏れ日降る朝」や「星のない夜に」といった楽曲を、それぞれ単曲のピースとしてショップにてお届けしてきました。多くの方がそれぞれの曲を愛してくれて、日々の練習に取り入れてくれました。
しかし、今回『THE LANDSCAPE』をリリースするにあたり、それらの単曲展開をすべて終了することに決めました。
これは現在地を知るための「地図」である
理由はシンプルです。
これらは各レシピに対応する楽曲ではありますがそれ以上に、バラバラに存在する単なる「曲」ではなく、7つ揃うことで初めて機能する、あなたの現在地を知るための「地図」だからです。
発音、リップスラー、跳躍、ハイトーン、低音域。
それぞれの曲には特有のテーマが隠されています。順番に、あるいは日替わりでその風景の中を歩いてみることで、「自分が今、どこでつまずくのか」「どこに伸びしろがあるのか」が嫌でも自覚できる設計になっています。
単曲という断片ではなく、一つのまとまった「景色」として全体を見渡してもらうこと。
それこそがこの7つの練習曲が真価を発揮する唯一の方法だと気付いたのです。
単なる「まとめ本」ではない理由
とはいえ、ただこれまでの楽譜を一つに束ねただけの「まとめ本」を作る気は毛頭ありませんでした。一冊の教則本にするにあたり、ぼくはこの本に新しい価値を吹き込みました。
「身体の使い方のOS」を修正する書き下ろしの処方箋
最も大きな変化は、各曲に載せるぼくが書く「解説文」です。全曲にわたり、一から完全に書き直しました。
これまでの単曲販売時の解説は、曲の情景や成り立ちを伝えるエッセイのような側面が強いものでした。しかし今回の曲集では、それを「より心地よく吹くための具体的なアプローチと、つまずいた時の処方箋」へと再構築しました。
美しい音楽を奏でようとして、もし特定の跳躍や音域で身体がこわばってしまったなら。それはあなたが音楽的でないからでも、才能がないからでもありません。
ただ「身体の使い方のOS」が少しズレているだけなんです。
新しい解説文では、「なぜそこで息の量に頼ってしまうのか」「なぜシラブルが変わっていないのか」という原因を論理的に紐解き、解決策となる『ホルニストのためのレシピ®︎』への道しるべも必要に応じて記しました。
曲があなたの課題をそっとあぶり出し、解説がその答えを手渡す。すでに単曲で持っている人にとっても、これまでの練習の視点を根底から覆す体験になるはずです。
今回「紙の本」にこだわった理由
今回、BASEでのデータ版販売に加えて、AmazonのKindle+を通じて「ペーパーバック(紙の本)」としても出版することに強くこだわりました。
今の時代、iPadなどのタブレットで楽譜を管理するのは本当に便利です(だからこそ即座にダウンロードできるデータ版も用意しました)。
ですが楽器を吹く人間にとって、譜面台に「物理的な紙」が乗っている時の安心感や、余白に鉛筆で自分の気づきを書き込んでいく体験は、何にも代えがたいものがあります。
しかもこのペーパーバック版は、紙の本でありながら伴奏音源へアクセスでき、さらに「楽譜のPDFデータ」もダウンロードできる仕様にしました。「本棚に置いておきたいけれど、持ち運び用にiPadにもデータを入れておきたい」という、奏者のリアルな悩みに応えたいと考え、このような形になりました。
すでにバラバラのピースを受け取ってくれていたあなたへ
最後に。
これまで単曲で楽曲を購入してくださっていた方々の支援があったからこそ、この曲集は完成しました。その想いを無駄にするようなことは絶対にしたくなかったので、重複分を差し引いて『THE LANDSCAPE』をお求めいただける【特別クーポン】を個別にお送りしました。安心してこの完全版を受け取ってください。
味のしない無機質な反復練習は、もう終わりにしましょう。 基礎と実践の深い溝の前で立ち尽くしていた過去のぼくを救うための地図が、今、あなたの手元へも届きます。
データ版はこちらから。
少し時間がかかりますが、Kindle+のペーパーバック版を手にとってくださる方は、こちらから。






















ごんざゆういち
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