今日は楽器を始めてからの自分の経験をお話しします。
楽器を始めた中学時代
ぼくは中学校1年生からホルンを始めました。
練習嫌いだったのでちっとも上達せず、中学校1年生の冬になっても、五線の中のFの音がすごく苦しかったの覚えています。(五線の中のFはホルンにとっては出しやすい音域です)
それから中学2年生、3年生となっても上のCがギリギリ出るかどうかと言う感じでした。
その頃のハイトーンの出し方の理解としては、
ハイトーン=息のスピードを上げる(息の吐く量を増やす)、と理解していました。
今思うと、息のスピードを上げる必要があるのは間違っていませんが、息のスピードを上げるために役立つこと・できることの知識が圧倒的に足りていませんでした。
ハイトーンへの苦手意識は高校時代になっても強く残っていました。
五線を超えて上の音域なると、息苦しくなりか細くなり苦しそうな音を出していました。
ハイトーンへの苦手意識はそのままでしたが、その後なんとか音楽大学に入学。
入学後も苦しみ続けるわけですが、あるとき、マジオ金管教本という教本に出会います。(現在は廃盤)
その教本はルイ・マジオというトランペット奏者が書いた本でした。
トランペット奏者として活躍していたマジオ氏が、ある事故により唇に怪我を負い、全くトランペットが吹けなくなってしまい、そこから吹けるようになるまで実際に彼が試してきた練習方法などが載っていたのです。
いくつものタメになることが載っていましたが、特にぼくが試してみて目を見張る変化があったのは、口の中の広さを音域によって変えるという考え方でした。
様々な音域を吹くために口の中の広さを変えることは必要な要素ではありますが、息を吐く量だけで高音域を出すものだと思っていた当時のぼくにとっては目からウロコでした。
ハイトーンを吹くために必要なのは、息を吐く量の調節だけでなく、口の中の広さを変えることも有効と知ったことで、少し苦手意識が減ったのを覚えています。確か大学3年生の頃でした。
遅すぎますよね。
何の苦もなく順調に練習をしてハイトーンをだせるようになる人がほとんどだと思います。中学時代、高校時代、大学時代を思い出してもハイトーンが出せずに悩んでいる仲間はいなかったように思います。
そこからしばらくはその2種類の方法を駆使してハイトーンにチャレンジしていましたが、それだけではホルンの4オクターブにも及ぶ音域をカバーする事はできず、また壁にぶつかることになりました。
ぼくはブログでマウスピースのプレスに関して何度も話してきましたが、その考え方も大学卒業後に新しい先生に習い始めて知ることとなりました。
マウスピースは本当に押し付けて吹いてはいけないのか
ぼくは中高時代は特にマウスピースはあまり唇に押し付けて吹いてはダメだ、と教わってきました。また、それを疑ったこともありませんでしたから、自分で検証することもありませんでした。
しかし大学卒業後に新しい先生に習い始めてから、プレスに関する考え方がガラッと変わり、
ある程度のプレスは必ず必要で
そして誰もがやっていること
と知りました。
この時点で、
息の吐く量を増やす
口の中の広さを変える
マウスピースのプレスの量は変わるもの
この3つの要素を使ってハイトーンを出すことを学びました。
中学の頃から比べると、かなりだしやすくなってきましたが苦手意識がまだありました。
苦手意識がなくなったのは、ここ2、3年のことだと思います。
どの音域も口は動かないように吹く、と厳しく言われてきましたが、音域によって口は動いた方がスムーズにいろんな音域の行き来ができるし、研究結果からその結果が導き出されていると言うこと、一見動いていないように見える世界の名だたるプレイヤーであっても、誰もが実は繊細にマウスピースは動いて音域の調整をしていたと言う事を知ったのです。
アンブシュアモーションと言う名前でこの要素を話す事は多いですし、ぼくもレッスンで人に伝えることが増えましたが、この考え方を知ることが自分にとってのハイトーンに対する最後の壁を取り払ってくれました。
ここまで15年以上。
もし、ハイトーンを出す上で必要な様々な要素楽器を始めたばかりの頃から知っていたら、ぼくのホルン人生はもっとスムーズだったし、今とは違う道があったのではないか、そう思うことさえあります。
ですがレッスンをすることが多くなって、たくさんの人が自分と同じように悩んでいる人がいることを知りました。
そこで初めて、自分が積み重ねてきた苦労や経験は無駄ではなかったし、できない人の気持ちもわかるために必要なことだった、と思えるようになりました。
こうすれば必ずハイトーンは出るようになる!とはっきりと言えるものはありませんが、少なくとも悩んでいる人がどんな要素を使ってハイトーンを出そうとしているのか、どんな風に教わり、考え、練習してきたかをレッスンを通して知れば、今どんな要素が足りていないか、今後どう考えて練習していけばいいのか、は伝えられるようになったんじゃないかと思っています。
それではまた。
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