楽器を始めてかれこれ20年になりますが、いつの頃からか楽器を吹いていくうちに必ず起こる、唇の腫れに悩まされてきました。
吹き方が悪いせいかな?
練習方法のせい?
練習時間が足りないのかな?
いろんなことを考えました。実際、奏法の改善で軽減されたこともあります。
でもやっぱり唇は腫れる。
リハーサルを重ねるごとに必ず調子が悪くなる。
何か原因があるんじゃないか。
でもそれを考えることは、自分の能力不足を棚に上げて何かのせいにしたいだけじゃないか。
悶々としながらも何か分かるかもしれないと、以前から気になっていた金属アレルギー検査を受けてきました。
結果、複数の金属に対するアレルギーがありました。
色々と調べたところ管楽器奏者と金属アレルギーの関係に関して情報が少なかったので、金属アレルギー検査にかかる実際の費用や日程、金属アレルギーへの対応策など、ぼくが経験したことを書くことにしました。
話が長くなるのでいくつかの記事にわけて書きます。
この記事ではまず検査に関わることを。
※かかる費用や日数、どこで受けられるかだけを知りたい方は目次の<7 まとめ>をご覧ください。
金属アレルギーとは
一般的に言われている金属アレルギーは、ネックレス、イヤリングやピアスをつけた時にかぶれたり、かゆくなったりすることを思い浮かべられると思います。
ただ、金属自体は体にとって必要な物でありますし、金属単体で悪さはしません。
しかし、汗や唾液などで反応することによって金属が微量ながら溶けだします(このことをイオン化と言います)そのイオン化した金属が体内に取り込まれ、取り込まれた金属イオンは体内のタンパク質と結合します。
このタンパク質とくっついた物質が私たちの体内で微量ながらたまり続け、「これは自分の体と違うものである」と体が認識して、その許容範囲を超えた時点で、一気にアレルギー反応を起こし、皮膚や粘膜に異常をきたしていきます。
これが金属アレルギーの特徴です。
症状はすぐには現れなくて、許容範囲を超えてから発症するので、遅延型アレルギーとも言われています。よく似たタイプが花粉症ですね。
引用元:きたいま歯科HP
楽器は金属を使っているものが多いので、自然といつも金属に触れていることになります。特に金管楽器は唇に金属がいつも触れていますよね。
意外と知られていませんが、管楽器奏者はいつも金属アレルギーと隣り合わせだったんです。許容範囲を超えてから発症するもの、ということは、ある日突然・・・てこともあり得るわけです。
もちろん早い段階で症状が出る人も多いと思いますが、ぼく自身は楽器をはじめてから最初のうちは唇が腫れた記憶はありません。楽器を吹いていくうちにいつの間にか許容範囲を超えてしまったんだと思います。
金属アレルギー検査を受けることのできる施設
金属アレルギー検査は基本的に皮膚科で受けるものです。ですが皮膚科であればどこでも受けられるわけではなく、診察科目に、アレルギー科や金属アレルギー外来といった記載のある病院で検査を受けることができます。
検査を受けることのできる皮膚科をまとめたサイトがありましたので、参考までにどうぞ。
全国・金属アレルギーパッチテストができる病院
記載があっても検査を受けることができるかどうか、事前に必ず電話で問い合わせましょう。
上記のページは、検査を受けることのできる病院がまとまっていて便利なサイトですが、ぼくが上記のサイトを見て最初に問い合わせた病院では「今はやってないです」って言われました…。
ネットで検査を受けることのできる病院を調べる際は、
地名 + 金属アレルギー検査
と調べるとヒットしやすいです。
検査にかかる時間
金属アレルギーパッチテストは結果が出るまで通常は1週間かかります。その1週間のうち、通院は通常4日。
日数経過で反応がでる金属もあるため、これだけ時間がかかってしまうそうです。
日にちの間隔は、
1日目
パッチテストの説明と実施。
2回目(開始より2日後)
テープを除去し、最初の判定。
3回目(開始より3日後)
2回目の判定。
4回目(開始より7日後)
最後の判定。
となります。
初診日によりますが、表にするとこんな感じです。
パッチテストを受ける際は、病院ごとの休診日などの兼ね合いによって何曜日からであれば受けることができるか違うので、事前に調問い合わせましょう。
日数が4日かかり、なかなか自分のスケジュールと合わせずらそうに思えますが、それぞれの診察時間は5分程度。病院が空いており、待ち時間が少なければスムーズに通院できます。
検査費用
検査結果が出るまで、事前の調べでは4日かかると覚悟していたのですが、ぼくが通った病院は3日の通院で済んだので、3日間でかかった料金を載せます。
今回、金属アレルギーパッチテストでかかった料金は、2,930円でした。
1回目
初診料+検査料=2,170円
2回目
再診料=380円
3回目
再診料=380円
検査方法
金属パッチテストは、皮膚表面に金属を含んだ試薬を貼付けることにより、アレルギー反応を起こすかどうかを調べる方法です。
背中に貼ったり、腰に貼ったり、腕に貼ったりと病院によって貼る場所は様々なようですが、ぼくの場合は背中でした。
「背中を濡らさないようにしてくださいね」と医者に言われたのですが、背中を濡らさずに風呂に入るのはなかなか大変でした。
あとは、背中がかゆくなりました。後日医者に話を聞いたところ、薬液のせいというより、テープのせいでかゆくなることもあるそうです。
テープは2度目の通院日にはがされるので、その日以降は濡らしても大丈夫です。
検査でわかること
ぼくが通院した病院では、22種類の金属にアレルギー反応があるかどうか調べることができました。通常だと17種類の金属を調べる場合が多いようです。
検査結果は紙面で渡されました。
はい、めちゃ引っかかってます。
- 重クロム酸カリウム = クロム
- 硫酸ニッケル = ニッケル
- 塩化コバルト = コバルト
- 塩化第二スズ = スズ
- 塩化金酸 = ゴールド
- 塩化白金酸 = プラチナ
別記事で書きますが、特にニッケル・コバルト・スズは金管楽器を吹いている人には日常的に触れている金属でした。
ぼくには反応ありませんでしたが、他には銀や、銅、亜鉛も金管楽器奏者に大きく関係してきます。
反応が出ることはあまりないようですが、人によってはゴールドやプラチナも関係してきますよね。
まとめ
- 検査は皮膚科ならどこでも検査を受けれるわけではない
- 金属アレルギー検査にかかる日数は通常通院4日、期間は1週間
- 検査にかかる必要は3,000円程度
- 検査でわかる金属アレルギーは通常17種類くらい
アレルギー検査を受けて発覚した金属アレルギー。
これらは、楽器のどこで使われていて、どんな影響が考えられるのか、このあたりを次回記事にします。
それではまた!
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