12月7日(土)8日(日)盛岡出張レッスンのお知らせ

のばしている音が揺れてしまうトランペット吹きとのレッスン

楽器を吹いていて音がゆれること、ありますよね。

そうなったときどうしていますか?

息がまっすぐでていないのかな、
力んでいるのかな、
体に力が入っているのかな、

いろんなことが思い浮かびますね。

音がゆれることが増えると、吹いている最中も常に気にするようになった経験がぼくにもあります。

なぜ音がゆれるのか?

要因は色々ありますが、今回は音のゆれの要因が奏法ではなく思考に隠れていたケースです。

自分の音を聴きながら吹くのは大切。でもずっと監視しながら吹くと思わぬ弊害を招くことがわかりました。

音のゆれが起きるとき、起きないとき

本人に話を聞くと、「どんな音でものばしている最中に音がゆれてしまう、タンギングがうまくいっていないからではないかと思っている」とのこと。

まずは実際に吹いてもらいました。
確かにのばしはじめて少し経つと音がかなりゆれます。

細かくみていくことにしました。

◇◆◇

①楽器を吹いて音をのばす
→音はゆれる。

②楽器は置き、吹く口をつくって息だけ吐く
まっすぐ息は吐けている。ゆれない。

③マウスピースだけで吹く
まっすぐ音はだせている。ゆれない。

④マウスピースを吹きながら楽器をつけて吹く
まっすぐ音はだせている。ゆれない。

試すといくつかわかったことがありました。
②の時点で息があっちこっちいってしまう→なので音も揺れる、というパターンも多いのですが今回は違いました。

②を試した時点で息があっちこっちいってしまう人は、口の前に手を出して、手のひらの一点に息を当てるつもりで息を吐く練習をするといいと思います。

楽器を吹く、ということに関しては①も④も変わらないのに、手順を変えると④では音が揺れませんでした。③ではまっすぐ音を出せていました。タンギングに問題があるのであればどのパターンでも息や音がゆれるはずですよね。

もしかしたらこの場合、表面上の奏法ではなく、演奏時の思考に何かが隠れているかもしれない、そう思いました。

 

本人に、
「どんなことを考えながら音をのばしているの?」と聞くと、

「吹いている最中もずっと音がまっすぐのびているかどうか気にしながら吹いています」とのこと。

真面目。
でも聴きすぎているのかもしれない、そんな印象を受けました。

思考の組み立て、自分ジャッジポイントをずらす

一緒に話しながら考えを整理していきます。

⑴これからでてくる音がどんな音なのかは、吹く前の考え、計画で決まること、
⑵その音はブレスとアタックで決定的になること
⑶吹きはじめたら後はそれを続けること
⑷自分ジャッジのタイミングを[吹いている最中ずっと]から[吹き終わってから]にずらすこと

を話しました。


今回は音を一つのばしてもらっただけですが、普段はそこにテンポがあり、音量があり、長さがあり、ピッチがあり、周りとのバランスがあります。(もちろんただ音をのばすだけでもこれらはあります)なので場面に応じた音を演奏前にイメージしてからいつも演奏する必要があります。


⑴で立てた計画を確かなものにするためにはブレスとタンギングが大切になります。特にタンギングは、音のスピード・音色・ピッチなどすべてに影響をおよぼします。


吹きはじめたら後はそれを続けること。今回のように一つの音をのばし続ける場合はなおさらです。

⑷吹いている最中に音がゆれているのを感じた場合、咄嗟に(ゆれないようにしなきゃ)とプレスを強めたり、力で抑え込んだりする場面は、実際よくあります。

ありますが、今回の場合、音をのばし始めて(音がゆれた!)と本人が感知した後、この方の場合は息を吐く量を増やし、ゆれをなんとかしようとするやり方をいつも採用していました。結果音のゆれがむしろ増えているのではないか、そう思ったので、一旦自分の音感知センサーのスイッチを切ってみてほしくてこういった提案をしました。※(大丈夫かな、音、揺れてないかな、あ、揺れてる、どうしよう)と考えていることを「自分ジャッジ」と呼びました。

⑴の計画があり、
⑵で実行し
⑶でそれを続ける

吹き終わったら⑷をする。

今は⑷が⑴にも⑵にも⑶にも入り込んでいて、それが演奏のさまたげになっていたのかもしれない。

一旦自分ジャッジやめて、⑴⑵⑶だけで吹いてみよう。

 

そう提案して吹いてもらうと、音のゆれがなくなりました。

 

おわりに

ぼくにも経験がありますが、音がのばしている途中で音がゆれてしまうと気になります。音がゆれ始めるとなんとか音が揺れないように力んでそれを抑え込んだりもしました。とっさの時にはそれでもいいかもしれません。

でも普段から、ゆれてからの対処ばかりだと、解決には向かいません。

今回の場合は奏法自体には問題はなく、思考が関係していました。

繊細な自分ジャッジセンサーが常に音を見張っていて、少しでも揺れを感知すると、息の吐く量を増やしてコントロールを試みる→余計に音がゆれる→いつも音がゆれる→タンギングのせいではないか。

 

奏者の思考のクセを順に一緒に検証しながらほどき、組み立て直していくことで音がゆれなくなりました。

何か問題が起きた時にどこに注目するか、その答えは一つではないので他にも方法があったかもしれません。

ですが今回、レッスンの最後に悩んでいた方に笑顔が戻り、スッキリとした顔をしていたのでそれが1番!と思いました。

 

 

 

それではまた。

\Xでごんざを  

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