どうもごんざです。
普段別の先生に習っている方がレッスンにきてくださいました。少しのきっかけで音がみるみる変わっていて、ぼく自身学びも多く濃い時間が過ごせました。
社会人の方なのですが、久しぶりに楽器をはじめてレッスンに通いはじめたら、習いはじめた先生がかなり厳しくネガティブになっているとのこと。
先生には先生のやり方がありますから、それがいいとか悪いとかではなく、合うか合わないかなんですが、少なくともその方はとてもつらそうでした。
普段の練習、レッスンの様子
はじめてお会いする方とのレッスンでは、いつも時間をかけて普段の練習環境やこれまでの経験を聞いています。
今回は普段のレッスンの様子も伺いました。
「ここでブレスはダメだと言われます」
「高い音が貧相と言われます」
「息をたくさん吸うように言われます」
「レッスンに行くたびに緊張します」
否定的な言葉が続きます。
何に問題があるのかに気付くことはレッスンをする上でとても大切なことだとは思いますが、その先「どうするか」が最も重要ですよね。ダメ出しや否定ばかりのレッスンには決定的に「どうするか」が不足しています。
それを踏まえてどうするか
ここでブレスはしちゃダメ→息が足りない→もっと息が吸えるように。
話を聞いて実際に演奏していただいて感じたのは、こんなイメージでいるのではないか、ということ。
聞くと「実際そう言われます」とのこと。
(・Д・)
キャパシティ以上に息を吸おうとしているように見えたので、呼吸の仕組みを説明して「がんばらなくても息は吸えますよ」と言って試しに吹いてもらいました。
結果、がんばって吸ってるときよりも楽に豊かに響く音がでて、本人も驚いていました。
「楽にでますね」
でます。でるんです。
無理に吸おうとして体に必要のない力みが発生してしまって、息の流れを邪魔してしまっていたようでした。
貧相な高い音?
普段の先生にレッスンで言われる指摘の中に「貧相な高い音」という文言があったんですが、表現としてどうなんだろうと思い、音域によって音の細さはかわることを話しました。
通常は上の音域にいくにつれて言い方を変えれば「貧相」になります。
何はともあれ吹いてもらいました。
すると、高音はむしろ分厚い音で太すぎるくらいでした。音が貧相にならないように、息をいれすぎてがんばりすぎていたんです。
結果、響きが少なくなってしまった状態を「貧相」と表現していたであろうことがわかりました。
そこで「確かにその音は高い音かもしれないですけど、そこまで前の音から離れてはいません、すぐそこ!と思って吹いてみましょう」と提案して吹いてもらいました。
すると、今までの苦労がうそみたいにスルッときれいなハイトーンが鳴りました。
「こんなに楽に出るんですね、これでいいんですか?」
と本人も変化を感じています。
いいんです!
でも、考えてみてください。たった一言「貧相な音」と言われただけでこれだけ気負ってしまうんです。言葉って本当に大切だと改めて思いました。
アドバイスの真意
身体の構造的にももっと息が吸えるのに吸っていないから「もっと息を吸って」とアドバイスをするのか、息が続かないから「もっと息を吸って」とアドバイスするのか。
どういう意図でアドバイスするかによって起こる変化はまるで変わってきます。
学生時代にぼくの師匠が苦笑いしながら、こんなことを話してくれたのを思い出しました。
「オーケストラである曲を演奏していると、決まって同じ場所でホルンを注意してくる指揮者がいた。何度目かにその曲をその指揮者と演奏するとき、注意されることはわかっていたから充分に気を付けて吹いた。それでも注意されたんだ。まだ足りないのか、と思って休憩中にスコアを見に行ったら【ここはホルンに注意する!】と書いてあったんだ」
吹ける力はもう備わっている
ぼくは、もともと誰もが楽器を吹くための要素って備わっているものと考えています。
そこをわかった上でレッスンするだけで、まるで違うレッスンになるんです。
それを、その人自身を見ずに「ここはこういうもんだから」とレッスンすることで、どれだけの人が苦しんでいるんだろう。
レッスン中、「アンブシュアが悪い!」と過去に先生に言われたことを今も少し気にしているようだったので、見てみると悪いなんてとんでもない!きれいなアンブシュアでした。
ただ少しだけ、横に引きすぎてしまうところがあったので「別の部分の筋肉にも手伝ってもらいましょう」と提案し説明して吹いてもらうと、それだけで音も変わりました。
具体的な提案であればあるほど、すっと入っていきます。
おわりに
この日レッスンをした方から翌日メールをいただいた中で「今日はどんな練習をしようかな」と言っていたことが何よりホッとしました。そういう風に少しでも思ってくれてよかった。
自分の音を好きになって、
練習が楽しみになって、
演奏が楽しくなる。音楽が楽しくなる。
吹きたかったフレーズを引っ張りだしてきて吹いてみる。
その気持ちがあればいくらだって、いつまでだってうまくなれるし、楽しめる。
心からそう思っています。
それではまた。
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