どうもごんざです。
どんな楽器でも長時間吹いていると、ある程度はいろんなところに疲れを感じてきたりコンディションが悪くなってくることはよくあることです。
でも痛みを感じてきたら?
それはちょっと心配です。
今日は
本人の推測
ハイトーンを吹くときマウスピース押し付けすぎて歯が痛くなる、というケースは聞いたことがありましたが、アゴが痛くなるという悩みはこの時初めて聞きました。
アゴの痛みを聞いてぼくがまず思い浮かんだのはこの部分の痛み。
どうもこのあたりのことのようでした。毎度のことですが、話を聞いた時点では(マウスピース押し付けすぎなのかな?)くらいしか思い浮かびませんでした。
ちなみのこの方はマウスピースを口に当てたとき、割合としては下に多く当たっている吹き方をしています。
本人の予測としては、
とのこと。
気合いはともかくとして、ハイトーンにいくにつれどちらかというと口が開いていくよりは閉じていく方が吹きやすくなることはほとんどですから、『口が開いていく』は関係あるかもしれない、と思いました。
ここで、
と聞いたところ、
と教えてくれました。
自分で起きていることに気づいて、自分なりに解決方法を試してみているところがとてもいいな、と思いましたがそれと同時に悩みの深さも感じました。
マウスピースだけで吹くと痛みはない
何か演奏に問題があったり悩みを抱えている人とのレッスンで原因がわからないとき、物事を分解して細かくみていくことをよく試します。この時は楽器からマウスピースをはずし、マウスピースだけで中音域から高音域に向かって吹いてもらいました。
そうすると、
とのこと。
これは朗報!
ここで「ではそこから楽器をつけて吹いてみましょう」と提案したところ、楽器を吹くとまた元に戻ってしまいました。
ここでこの工程を辛抱強く繰り返す、という選択肢もあったのですが、少し角度を変えてみることにしました。
なぜやっているのか
起きていることに直接アプローチで解決方法を提示!って方法ははやいし、レッスンとしても良いレッスンには変わりないと思いますが、意図的でも無意識だとしても『なぜやっているのか』が見えてくると、よりレッスン後の回復がはやいと経験上思っています。
なので、ぼくはレッスンで『なぜやっているのか』に着目にすることが多いです。
しばらくあれこれ話していたところ突然思い出したように、
と話してくれました。
このアドバイスは本人のその時の状況によっては当てはまることも十分考えられるので、アドバイスが良い悪いという話は今回置いておきます。
ぼくがここで試したいのは、そのアドバイスが今も必要なのかどうかです。
今それを手放してみたらどうなるか
と提案しました。
本人は不安そうです。
それはそうですよね。本人にとっては出したくない音を『出してみよう』と言っているのですから。
不安そうな様子をあえて汲まずに吹いてもらうと、キツくなるどころかまったく音色に問題はありませんでした。むしろ楽に出ているように感じます。たまたま近くで聞いていた人も驚くくらいに変化がありました。
本人は不安げでしたが、
と言っていたので、音はむしろよくなっていることを伝えました。まだ半信半疑でしたが、聞いていて驚いていた人にも感想を言ってもらうと少し納得したようでした。ひとまずこの方法で様子をみながら取り組んでもらうよう提案しました。
その後ひと月ほど経ってのレッスンで、今ではすっかり痛まなくなったことを教えてくれ、話題は次へと進んでいきました。
おわりに
先生のアドバイスがきっかけで『悩みが解決する』だとか『解決の糸口が見つかる』だとかそういうものはもちろんありますよね。
それに、起きていることに対して代わりに何か別のことをする、というのも有効な場合は多いです。
でもぼくはなんだかそれだけではなく、
その人の楽器吹きとしてのこれまでの積み重ねを一緒に振り返り、これまでの経験の中で関係のありそうなことがあれば、それが今必要か試してみる。今のその人には必要がなければ、それで変わることがある。こんなやり方もありなんじゃないかと思うんです。
過去を振り返る以外にも、原因がわかってもやもやが晴れたり、心がスッキリしたり、気持ちが明るくなったり。そういうことが+に働き、結果的に演奏がよくなる。
こんなこともレッスンでよく起きます。
ぼく自身演奏に悩んだとき、(昔何かこれに関係することで言われたこと考えたことあるかなー)って考えると、何かそのカケラみたいなものがあったりするんですよね。
今は思い出すことはなくても、昔言われたことを無意識に守っていたり体は覚えていたり。それが+に働けばもちろんこれからも大切にしていきたいけど、そうじゃないときもある。
一人一人の今はこれまでの経験があっての今なんですよね。それがどれだけ短い期間であったとしても。技術的なことや今これからどうしていくか、に加えてそういったことも考えてみると、また違ったものが見えてきます。
それではまた。