いろんな方とレッスンする機会が増えるほど、疑問に思うことがあります。
「マウスピースは唇に押し付けるべからず」みたいなのが全国的になんで広まってるかを最近考えてるんだけど、ちょっと分かってきた。
— ごんざゆういち (@Gonja_19) 2017年5月26日
目次
跡がつく=押し付けすぎは真実?
10人ホルン奏者がいたとして、10人に同じプレスをしても唇に跡がつく人とつきにくい人がいます。
そこで、跡がついた経験のない人が唇に跡がついている人をみて「跡がつくってことは押し付けすぎだよ」ってなる。で、押し付けないように吹き始めて知らず知らずのうちに吹きにくくなる。— ごんざゆういち (@Gonja_19) 2017年5月26日
見た目で判断することがすべてではないんです。
跡がつく=押し付けすぎ、は真実なのか?を判断するのは音色や吹きやすさだと思う。
— ごんざゆういち (@Gonja_19) 2017年5月26日
たまにTwitterで「どれくらい密着するのがいいんでしょうか?」と聞かれるのですが、正直答えようがありません。その人が今どういう音を出しているのか、文面だけで判断することは不可能だし、その人が何を考えて楽器を吹いているか、押し付けについてどう思っているのか、いろんなことが判断材料になってくるからです。
指導者自身が「自分がどれくらいマウスピースを押し付けて吹いているか」を生徒に正確に伝えられていない問題
教える人が自分がプレスをかけているのに気づいていない可能性もある。当たり前に最初からやっているプレスが「実は他の人はそれよりもプレスしていないで楽器を吹いている」可能性があることに気が付かない。そうしたらやっぱり「なるべくプレスしないで」って人には教える。
— ごんざゆういち (@Gonja_19) 2017年5月26日
誰しも楽器を吹くときは多かれ少なかれ、必ずマウスピースを唇に押し付けています。
ですが、特に「どれくらい押し付けるか」を考えなくても、もともと適切な押し付けで楽器を吹ける人が世の中にはたくさんいまして、そういう人たちからすれば、マウスピースは「意識して押し付けていない」のです。そうなると生徒には「押し付けないように」と伝えている可能性があります。
自分のやっていることを人に説明できない人は、意外にたくさんいます。ぼくも人から聞かれて(はて、どうやっているんだろう)と思うことは割とあります。
押し付ける時に一緒にがんばってしまう部分問題
プレスするときに一緒に起きやすいのは、腕とか首とか肩に力が入ること。唇にも必要以上に力が入ることもある。マウスピースを唇にプレスするのに必要な体の動きはどこだろう?ホルンだったら左手の手首を少し手前に曲げるだけでもプレスは強くできる。
— ごんざゆういち (@Gonja_19) 2017年5月26日
ぼく自身も経験があります。
楽器吹いてて(よし、押し付けるぞ)って思ったときにいろんなところが一緒に力入ってしまうのって、ある意味普通のことだと思います。
どこに力が必要なのか、不必要なのか。それを細やかに分析しながら楽器を吹くと、
マウスピースを唇にしっかりとプレスし密着させることにより、ピンポイントで息が入り、芯のある音に近付きました。吹き込んだ息が音となってでる一体感、感覚がわかり、無駄に息を使わないので息が続くようになりました。
引用:レッスンアンケートより
こういった体験をする事ができます。
たくさんの人をレッスンしていて、今よりほんの少しの歯と唇とマウスピースの密着で、楽に吹けるようになる人がめっちゃ多い。どの音域にも通じること。
— ごんざゆういち (@Gonja_19) 2017年5月26日
少しのプレスで音の輪郭まるで変わるし、バテ具合も全然変わる。角度も少し自分に合った角度じゃないだけでえらく演奏に影響する。アンブシュアモーションも意識的にやると、どの音域でも息の入り方まるで違う。自分の吹きやすいところで自動で吹くにはまだ時間がかかることを知った1日でした。
— ごんざゆういち (@Gonja_19) 2017年5月26日
おわりに
- 見た目で判断するのではなく
- 言われたことを丸ごと受け取るんじゃなく
- 押し付けには何が必要なのか考える
いきなり「教わったことが本当だと思うな!」ってのは難しい話ではありますが、いつも「言われたことは自分に合っているんだろうか」と考えてほしいし、実践してみてほしいです。
と、この記事を書いたちょうどその日に仙台フィルの溝根くんがこんなツイートを載せていました。ご本人に許可を得たので載せます。
先日のプレス測定実験の結果が届きました!20名のプロ奏者の平均値より私の値はやや低め。自分ではプレスはしっかりとしているつもりだったので、意外な結果でした。この結果を参考にもう少し強めにプレスしてみたら、ハイトーンが楽に明るく吹けて、テンションです♪#ホルンを科学する pic.twitter.com/S3PGt2AdgD
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
ちなみに、世界的奏者のラデク・バボラク氏がhighFを演奏しているときのプレスは、約30N(ニュートン)だそうです。30N=約3kgです。3kgのプレスがどれ程かというと、仮に3㍑のペットボトルがあったとしてそれに水を入れ、顔を上に向け、手を離して唇に載せたくらいです。結構強い。
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
「え、バボラクってそんなにプレスしてるの?」と思った方も多いはず。そうです、プレスしていないように”見える”だけで、実はかなりの圧力で演奏しているのです。ちなみに、実験時私はバボラクの2/3の圧力でhighFを演奏していました。そりゃ上手く吹けないわけです。#ホルンを科学する
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
これらは、桜美林大学の平野剛氏の研究によるデータです。物理学的にも統計学的にも信頼のおけるデータだと私は思っています。#ホルンを科学する
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
研究のデータってすごい信頼感ありますよね。プロ奏者の方が積極的に研究に取り組んでくださると本当にありがたいですよね。ぼくも勇気をもらっています。
溝根くんありがとう。
それではまた!
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