吹奏楽の合奏で「指揮みろー!」って指揮者に言われたこと、ありませんか?
それはきっとテンポの変わり目や大事な合図があるところについて指揮者は言ったんだと思うんです。
でもそれをみんな真に受けすぎてしまって「指揮者から一瞬たりとも目を離さないぞ!」って指揮者だけ見て演奏してるのをよく見かけますが、それはそれでやりすぎです。
たくさんの奏者と一緒に演奏をしているのに、指揮者だけを見るってそんなに大切なこと?
指揮者はあくまでガイドじゃないかと思うんです。
指揮棒の先からは何も出てこない
どれだけ見ても指揮棒の先からは何も出てきません。音ひとつ出てこない。
実はここだけの話、プロの演奏家が演奏中に一番見ているのは指揮者ではなく、コンサートマスターorミストレスなんです。オーケトラで言えば1stヴァイオリン。吹奏楽だったらクラリネット。
その人が指揮者とコンタクトを取り、体の動きやブレスでみんなにメッセージを送ってるんです。オーケストラの場合は弓の動きを見ます。
実際にこんな場面を見たことありませんか?
オーケストラの演奏会で、指揮者が棒を振り下ろして時間が経ってから音が出てくる。
これはずれているわけではなくて、みんなが指揮者ではなくコンサートマスターの動きに合わせているからなんです。
他にも、フルートがメロディーのところだったらフルートのブレスを見たり、見えなくても意識したり。
もちろん同じパートでそろって入るときはパートのでだしをそろえることに注意を払います。意識を耳に集中させて演奏することも大切です。
指揮だけ見てればいいんじゃないんです。
常に「見て」はいないけど視界には入っている状態
とは言えまったく見ていないのか、と言われればそうでもありません。演奏中はみんな見てはいないけど視界には入っている状態です。
どういうことかと言うと、例えば目の前の楽譜を見ているとピントは楽譜に合ってるのではっきり楽譜が見えますよね。
でも楽譜以外にも視野の中には含まれているはずです。譜面台の先の奏者の後頭部、自分の手元、メガネをかけていればメガネ。
この周辺視野に指揮者を常にいれておくんです。そうすれば直接見てはいなくても視界に入っているのでテンポや動きは感じることができま。
テンポの変わりめは見よう
演奏中にテンポが変わるときは必ず指揮を見ます。例えばオペラなら歌い手さんに演奏は合わせる必要がありますから、必ず指揮者を見ます。
何かあるときに見る。
それくらいでいいでしょう。
指揮者を頼りにしすぎるといざというとき困る
なぜ指揮者をそこまで見ないほうがいいかというと、他にも理由があるんです。
- もし指揮を振り間違えたら?
指揮者しか見ていなかったら指揮を間違えられたら動揺しますよね。 - もし本番だけ合図をくれなかったら?
いつも合図をくれるときに「私ここから入るんじゃなかったっけ」って猛烈に不安になります。 - もしいつもとテンポが違ったら?
指揮者が違うスコアを見ていて違うテンポで曲を振り始めたら全員動揺しますよね。こんなとき、コンサートマスターが冷静でことなきを得たこともあります。
いざ何かあったとき困るんです。しかもこれらはすべて経験のあることです。心臓が飛び出るほどの出来事ですが、そのとき周りが見えていればそこまで大事にならずに済むことも多いです。
ぼくの場合指揮を見ないのは、目立つところでの合図出してくれると余計に緊張するから。
ホルンが目立つところでホルンの方を向いて合図してくれる人って結構多いですが、緊張するから見ません。
出ることは決まっているんだから、見ても見なくてもどっちでもいいんです。見なきゃいけないなんてことはないんです。
おわりに
指揮を見ることも大切だけど、演奏者は他にもやることってたくさんあるんです。
指揮は視界に入れておくってことを忘れなければ、音の出だしを他の楽器を意識したり、耳を使ったり、できることが格段に増えます。でもテンポが変わるところや大切なところでは必ず見る。
メリハリですね。「指揮見すぎてたかもな」って思った人は、次回ぜひいろんなやり方を試してみてください。広い視野でその場を見回すこともときには必要ですよ。
それではまた!
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