楽器の悩みを先生に相談したとき「練習が足りないんだよ」と言われたら?

sax

どうもごんざです。
プロサックス奏者に普段レッスンを受けている高校生とレッスンしてきました。

レッスン申し込みの連絡ではかなり思い悩んでいて心配していたのですが、帰る頃にはすっかり笑顔で音も健康的になったように感じましたし、何より少しの変化でも自分で気づく繊細さが素晴らしかった。

そんなレッスンの様子を少し紹介します。

楽器が思うように吹けないのは練習が足りないから?

他に習っている先生がいる話は聞いていたので「先生には悩みは相談したの?」と聞くと「相談しました」とのこと。なんと言われたのかを聞いたら「きっと練習が足りない」と言われたそうです。

そう言われた彼は、朝昼放課後の練習に加え、休日も8時間以上練習したそうです。

それでもよくならない。

 

聞いているだけでツラくなります。

練習しても良くならない自分がどれだけ嫌になっただろう。
どれだけ傷ついただろう。
どれだけ必死に練習したんだろう。
うまくならない自分にどれだけ途方に暮れただろう。

 

よく途中で投げ出さずに、途中であきらめずに今日まで楽器を続けてくれた、とさえ思いました。
幸い彼は自分でしっかりと考えられる人だったので、途中で(練習が足りないわけじゃない)(何かがうまくいっていないんだ)と自分で気づいて、自分で自分を観察して、いろんなことを試してもうまくいかなくて。

そんな経緯でレッスンに来てくれました。

楽器は吹かない時間にうまくなるんや

この言葉はぼくが高校時代、客演指揮者で来てくださっていた淀工の丸谷明夫先生が話していた言葉です。
当時(ああ、本当にそうだよなあ)と深く思ったのを今でも覚えています。

できないことは練習時間があれば解決できる、という考えは時に暴力的です。
練習時間の問題にしてしまうと全部その言葉ですんでしまいます。

ぐんぐん上達していくには、健康的に楽器を吹いて建設的な練習が必要です。

 

うまくいかない状態で長時間練習し続けるのはうまくいかない状態を身体に覚えこませているんです。

考えるだけで恐ろしいですよね。

まずは「練習時間が足りないから思うように吹けるようにならないわけではないかもしれないよ」と伝え、レッスンをはじめました。

不調は「結果」として現れているだけで、原因は大抵ひとつではない

レッスンを進めていくうちに、どこか一つだけが大きな問題になっているのではないことに気づきました。

普段の座り方、マウスピースをくわえるまでの過程、息の吸い方、息の吐き方、吹きたいフレーズを吹くことにどれだけ息が必要なのか、吹くフレーズのイメージ、自分の考え方のクセ。

 

すべてが少しずつ積み重なって、彼の不調の要因になっていたようにみえたんです。
それを少しずつ新しいものに置き換えていく。

何かを試すごとに、彼は気づきます。
そして変化を言葉にできる。
悩んできたからこそできること。
悩むことも無駄なことではないんです。

普段の考え方のクセも大きく演奏に影響している

合奏中などでどれくらいの音量で吹いたらいいかわからない、という悩みも話してくれました。聞けば「いつも音が大きいと言われてしまうから抑えて吹いています」とのこと。

 

音量は抑えるものなのかな?
静かに吹こうと思ってみたらどうかな?

そう提案すると、とっても静かなmpを聞かせてくれました。

 

音量が大きいから小さく吹く。
うまくいかないからたくさん練習する。

 

足し算引き算で解決することばかりではないですよね。それに(抑えよう)と思って吹くだけで、その人自身の音色って出ないんじゃないかな、とも思います。

なんだかすごく普段から気を使っているんだろうな、と思って本人に聞くと「なんでわかるんですか」とその日一番驚いていました。
同じような経験があるからだよ、と話し「もっと吹きたいように吹いていいんだよ、ただそのときフレーズのイメージや雰囲気を感じてみよう」と提案しました。

一見つながらなさそうですが、普段の考え方も少なからず演奏に影響します。

一度できたら自分の中にできる要素はある、ということ

自分で練習するときに考えてほしいことも伝えました。

 

今までの習慣はまだ残っているから、ふとした瞬間に今までの吹き方になることは多い、ということ。

今までの吹き方になっていることに気づいたら、レッスンで増えた引き出しを開けてひとつひとつ試してほしい、ということ。

 

レッスン後にレッスンでできていたことができなくなると悲しい気持ちになるのはもったいないですからね。

関連記事:レッスンを受ける、ということ

 

おわりに

思い悩んでレッスンを申し込んでくれた本人の大きな一歩があったから、とても濃い時間が過ごせました。

 

 

それではまた!

 

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