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口の両端をつい引いてしまうときに

どうもごんざです。
高い音を吹くとき、リップスラーで音が上行するとき、唇の両端を引いて吹いている人いませんか?

これって気づいていてもなかなか直しにくいし、アドバイスも「音が変わっても唇の両端引かないで吹いて」としか言えない場合がほとんど。

でも、音が変わるときに唇の両端を引いて吹くのはその必要があるからなので、やっていることを禁止する提案よりも、代わりに何をするのかの提案をすることが大事です。

ではどうしたらいいのか。
先日のレッスンでたまたまその状況に出会ったので紹介します。

リムと唇の両端の関連性

その方は以前から唇を引いて高音域を出す傾向にあったのですが、特に音色や演奏に支障があるようには思えなかったですし、それについて悩んでいるわけでもなさそうでしたので、これまであえてレッスンで取り上げることはありませんでした。

ところが先日、エチュードを吹いたあとに「このフレーズを吹くとすぐ疲れちゃうんですよねー」と何気なくおっしゃったんですね。

どの程度のフレーズの長さや難易度で疲れるかっていうのは人によって違うのはもちろんですが、その方の普段の練習量と現在の演奏レベル、譜面の難易度を考えたときに、その時吹いたフレーズで疲れを感じるのは早すぎる、と感じました。

そこで(唇を引いて演奏していることに関係があるのかもしれない、これはいい機会だぞ💡)と『唇を引いて演奏すること』に取り組んでみることにしたんです。

唇を引かないで、という提案

音域が上がるときに唇を引くと、息の出口のサイズは小さくなりやすく、唇の薄さも変わるんですよね。それによって確かに音は変わりやすく出しやすくなるのですが同時に、

・音色が薄っぺらくなる
・唇の消費が激しい(振動しにくくなるのが早い)
・唇の両端がやたら疲れる(バランスのとれた奏法だと、ある一ヶ所がすぐ疲れることはない)

こんなデメリットがあります。

こう書くと「それ一刻も早くやめたほうがいいよね?」てなるのですが、「唇を引かないで」と提案してそれをやめるだけだと、唇を引いていたことで作動させていたあれこれができなくなるので、禁止だけではなく、代わりの提案も必要なんですね。

リムに助けてもらう

ぼくはレッスンで「その人の真似をして吹きつつ自分の吹き方と比べてみる」というのをよくします。

このときは「唇の両端を引くことで音を変える」を、結構な回数まねして吹いてみました。するとわずか数回で疲労感が!こりゃあ疲れますね!

そこでぱっと(自分は普段どうやって吹いているかなあ)と自分の吹き方に戻って奏法を比べてみます。そうすると、唇の両端は音の高さでほとんど変わらないことがわかりました。もっと言うと動かしていたのはリムの中の唇でした。

リムの外でやっていたことをリムの中で

パッと新しい提案をすれば1番はやいのはわかります。このやり方は限られた時間の中で試すには時間がかかるし効率的ではありません。でもどうだろう、ぼくがレッスンで試行錯誤している時間って生徒さんにどう見えてるかわからないんですが、きっとぱっと提案するよりいいんじゃないか、なんかそう思うんです。

ここまであーだこーだやってみてから、

「今あなたが唇の両端でコントロールしていることを、ぼくはどうやらリムの中でやっています。唇を引いて作っているものをマウスピースのリムに代わってもらいたいので、試しにマウスピースのプレスを強めてみましょう、そして音を変えるときにリムの中の唇を動かしてみましょう」

と提案しました。
そうして取り組んでもらうと、

「お、この吹き方全然疲れないですし、なんなら音も変わりやすいし、音色も同じまま音を行き来できますね」とのこと。

一回でここまで変わるのは上出来すぎますが、これは長期間レッスンを受けてきてくださっている方との関係性の現れですね。

それと提案後に聴いている側は演奏に変化を感じても、本人はあまりピンとこない、ってパターンはレッスン中実は多いのですが、とっても変化を感じてくださっていたのもよかった。

端的な言葉にしてしまうと「マウスピースをもっとプレスして」なのですが、やっぱりなぜそう提案するのかを話したほうがいいよなあ、と改めて思うようなレッスンでした。

おわりに

今回の話、読む人によってはまどろっこしい話ですよね。

ひょっとしたら、ただ「マウスピースをもっとプレスして吹いてみて」でも変わったかもしれないし、その一言でぱっと変われたほうが何か魔法にかかったような素晴らしいレッスン、となったかもしれません。

でもぼくはレッスン後に再現性を高めるためにも、なぜそれが起きているのか、それを変えるためにこうしてみてほしい、そしてなぜそう提案したのか、をいつもなるべく詳細に伝えようと試みています。

今回は長期間レッスンに通ってくださっている方との話だったので、言語化が難しく乏しい表現になりがちな部分もよく汲み取ってくださったてとても助かりました。

演奏時によく唇の両端が動くんだよなあ、とお困りの方、「いつもよりマウスピースのプレスを増やし、リムの内側の唇を音を変えるときに動かす」をぜひ試してみてください。

 

 

それではまた。