なぜ定期的にレッスンに通った方がいいのか。
定期的に通うことで3つのメリットがあるから、とぼくは考えます。
3つのメリットは、
- 奏法の基本的なメカニズムを知り、今自分が何を用いて演奏しているかを知り、何が足りないかを知ること
- 普段の身体の使い方を新しい習慣に替えていくこと
- 思考のクセを健康的な考え方に替えていくこと
です。
奏法のメカニズム
奏法の基本的なメカニズム。
簡単に言うとクレッシェンドするとき、何が必要なのかとか、どういう仕組みで高音が出るのかとかそういうことです。
例えば、しろたまの音符をクレッシェンドするとき、息のスピードははやくなりますが、息のスピードを速くするためには何が必要でしょうか。
息を吐く量であったり、口の中の広さであったり、息の出口の大きさであったり、マウスピースと唇との密着具合であったり、様々なことが同時に適量必要になります。どれか一つだけを増やしても上手くいかないことがほとんどです。
このように、楽器演奏にはいろんなことが繊細なバランスで必要だと、まずは知識として知っていてほしい。知った後、数ある選択肢の中から今自分は何を選んで演奏しているかを奏者自身が知ることで、先に進めます。
何を選んで演奏しているか、は演奏者の今までの環境や知識、経験などによって変わってきます。レッスンの中で、自分自身気づかずに選んでいたもの、使っていたものがあることを奏者も先生もわかってくることがあるでしょう。
演奏者が数ある選択肢の中から何を使って演奏しているかがわかれば、何が足りないかも見えてきます。
こうした行程が最初に記載した「1」の部分です。
身体の使い方を新しい習慣に
システムを知り、自分が何をやっていたか知り、今何が必要なのか知ったあとは、それを自分のものにしていく練習が必要です。
一度システムを知ると「やった!まだまだ上手くなれそう!おーし、もう大丈夫。これからは自分でなんとかしよう!」となるのですが、これがなかなか難しい。だけどレッスンを受ける前に比べて大きな変化があることが多いので、ここでレッスンに来なくなってしまう人が多いんですよね。いろんな事情があるにせよ、もったいないことです。
1度のレッスンで大きな変化は起きたにしろ、何しろ今までのやり方で演奏してきた時間の方がよっぽど長いので、レッスン後も隙あらば新しいやり方でなく今までのやり方に戻っていってしまうものなのですが、これがなかなか自分では気づきにくいのです。
例えば、
右側にドアノブのあるドアを、長年あなたは左手で開けていたとします。「右手でドアノブひねった方が楽じゃない?」と人に言われ、その時右手で開けてみると(確かに楽、これからは右手で開けよう)と思っていても、その後はつい今まで通り左手でドアを開けてしまうものです。
しかも今まで左手でドア開けてたから右手で開けなかったことに気づかないことすらあるんですよね。
そこを定期的にレッスンに通っていれば先生が気づいてくれて戻りやすいのです。それにそのうち少しずつ自分で気づくようになって軌道修正もできるようになっていくのです。
逆に言えば、定期的にレッスンに通っていて一度なおったことをもう一度指摘されたとしても凹むことはないです。ぼくもそうなので凹む気持ちがあるのもよくわかりますが、指摘してもらってよかったなあ、くらいに受け止めたいですよね。
思考のクセ
例えば、練習曲をレッスンで先生にみてもらうときに、つい「音はずさないようにしなきゃ」「完璧に演奏しなきゃ」と思ってしまう。これは思考のクセです。
音を間違えるとすぐ怒られる環境などに身を置く期間が長かった場合、こういった考え方になりがちですが、そもそも「音をはずそう!」とか「なんとなくの演奏でいいや」と思って演奏する人はいないわけですから、本来演奏には必要のないことです。
演奏中にハイトーンが出てきたときに、無意識に以前いつも使っていた(※例 高い音を出すときは息のスピードだ!)と思ってしまって昔の吹き方に戻るときも、よくあることです。ぼくも今でもよくあります。
楽器の特性を理解したり、奏法のシステムを理解し演奏することとはまた違った部分の話かもしれませんが、どう考えて演奏に取り組むか、は演奏に大きな影響があります。
例えば過剰に音程を合わせること、枠にはめることを強いられる環境に身を置いていた方だと、チューニングというだけで(音程あわなかったらどうしよう)(1回で合わせなきゃ)と身体を硬くして演奏してしまうこともあります。
どれだけ楽器のシステムを学び、自分で足りない部分を補いながら演奏できるようになっても、これらの否定的な感情は強力で、あっという間に大切にしてきたことを無にする威力があります。
ここも定期的なレッスンで根気よく取り組んでいく必要があるんじゃないか、と感じています。
レッスンてたくさんのことを同時進行でやっているんです。人それぞれ環境は様々ですからいろんなケースがあるかとは思いますが、できることなら定期的にレッスンに通ってほしいと、最近は強く思うようになりました。
それではまた。
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