どうもごんざです。
たくさんの方とレッスンしてきて、多くの人が悩んでいるのが「アンブシュア」です。
- アンブシュアが悪いと言われて…
- 上唇と下唇の割合って決まっているんですよね…
- マウスピースは真ん中って言われたんですが音が出ません…
- 正しいアンブシュアがわからなくなって…
- アンブシュアが安定しなくて…
- 先生に言われていることができなくて…
- 下顎が貼れなくて…
- 口を引いちゃうんです…
- アンブシュアが力んでしまって…
- マウスピースはなるべく押し付けないんですよね…
ほんと悩ましいですよね。かくいうぼくもああでもないこうでもないと、レッスンに通いながら悩み続けた経験が過去にあります。
そんなこともあって悩むのもわかります。
で、ホルンの経験20年くらいで言うのはおこがましいかもしれませんが、
正しいアンブシュア、は存在しません。
その人が吹きやすい吹き方が、その人にとっての正しいアンブシュアです。
もちろん、楽器を吹く上でここは機能していた方がいいし、ここは必要な筋肉、というものはあります。
それでも「アンブシュアはこうでなければならない」と決まっているものは何一つないのです。
見た目の正しさ=その人にとって合っていて機能しているアンブシュア、というわけではないのです。骨格も歯列も備えている筋肉も、唇の厚さサイズまで、誰一人として同じ見た目の人はいないからです。
これまで出会ってきた「◯◯すべき」論
ぼくが学生時代の頃から「こうすべき」論にはたくさん出会ってきました。
- マウスピースはいつだって口の真ん中に当てるべき
- ホルン奏者のマウスピースを当てる位置は唇上2/3唇下1/3の割合がよい
- どの音域も口は動かさないで吹くのが正しい
- 音域によってアンブシュアを変えるべきだ(ダブルアンブシュア)
- マウスピースはなるべく押し付けないで吹くものだ
- 下アゴは張らなければならない
などなど。
その奏法や考え方が、その時点でのその人の吹き方に合えば問題はありません。
ですが、近年になってバジル・クリッツァーさんが翻訳を進めている、ドナルド・ラインハルト氏の長年の研究にもある通り、アンブシュアには様々なタイプがあることがわかってきています。(関連記事:金管楽器の3つの基本アンブシュアタイプ)
マウスピースのプレスに関しての研究
マウスピースのプレスに関しても、ホルン演奏においては科学的に必要であることが明らかになってきています。
まるっと仙台フィルのホルン奏者、溝根くんのツイートを転載させていただきます。
先日のプレス測定実験の結果が届きました!20名のプロ奏者の平均値より私の値はやや低め。自分ではプレスはしっかりとしているつもりだったので、意外な結果でした。この結果を参考にもう少し強めにプレスしてみたら、ハイトーンが楽に明るく吹けて、テンション🆙です♪#ホルンを科学する pic.twitter.com/S3PGt2AdgD
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
ちなみに、世界的奏者のラデク・バボラク氏がhighFを演奏しているときのプレスは、約30N(ニュートン)だそうです。30N=約3kgです。3kgのプレスがどれ程かというと、仮に3㍑のペットボトルがあったとしてそれに水を入れ、顔を上に向け、手を離して唇に載せたくらいです。結構強い。
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
「え、バボラクってそんなにプレスしてるの?」と思った方も多いはず。そうです、プレスしていないように”見える”だけで、実はかなりの圧力で演奏しているのです。ちなみに、実験時私はバボラクの2/3の圧力でhighFを演奏していました。そりゃ上手く吹けないわけです。#ホルンを科学する
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
これらは、桜美林大学の平野剛氏の研究によるデータです。物理学的にも統計学的にも信頼のおけるデータだと私は思っています。#ホルンを科学する
— 溝根 伸吾 Shingo MIZONE (@mizone_s) 2017年5月27日
自分自身の経験を基に
楽器の角度について長いこと悩んできました。
当てる位置に関しても、
プレスに関しても。
金管楽器奏者の半分くらいが「マウスピースは唇になるべく押し付けないように」と思って吹いている理由
自分自身が体験することによって、一般的に「◯◯でなければならない」と言われることの多くが、実はすごく限定的で、誰にでも当てはまるものではないことが分かってきました。
「◯◯でなければならない」という指導をしている人は、あくまでその人にとってはそのやり方が一番いいからそう言っている、という場合が多いのです。
書籍も同じです。著者がそのやり方がいいと言っているだけで、すべての人にそのやり方が当てはまるわけではないんです。
特定のやり方に誰もが当てはまるとしたら、もう少しみんな幸せに楽器演奏をしているはずです。
氾濫する知識を基に探す
シンプルに言えば、まずは唇が振動しやすい状況を見つけることです。(状況とは、アパチュアの開き具合や、マウスピースの当てる場所、角度、唇のセットなどを指します)
その第一歩として、この記事をオススメします。
→はじめの5分取り組むだけで自分史上1番いい音で練習を始めることができるマウスピース練習
ぜひ試してみてください。
それではまた。
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