どうもごんざです。
ハイトーンに悩んでいる人の話を聞くと、
「息の力だけで」
「なるべくマウスピースは唇に押し付けずに」
「口を変えずに」
「中音域のような太い響きのある音で」
これらのアドバイスを間に受けて吹いてうまくいかずに悩んでいるケースが多いです。なぜこういったアドバイスが氾濫しているか理解はできますが、あえて言わせてください。
その考え、はっきり言って古いです。
アップデートしましょう。
実際これらのアドバイスで長い間悩まされた過去がぼくにもあります。大学を出るまで気づかなかったこともありました。(関連記事:演奏時、口の中を必要以上に大きくしてる無駄さに15年経って気づいた話)
ぼくが考えを改めるきっかけになったのはフルート奏者の言葉でしたし、他の楽器のレッスンに行ったときにも言われたので、これはホルンに限ったことではありませんね。
今回は悪循環にはまりがちなこれらのアドバイスの中から「息の力だけで」と「なるべく押し付けずに」について話そうと思います。
息の力の増減だけで本当に吹いているのか問題
ぼくが以前木管楽器のレッスンを受けに行った時のこと。ホルンとは全然仕組みの違う楽器なので吹き方もわかりません。
そこでこう質問をしました。
そうすると、
と言われました。
そこで言われた通り素直に、息の吐く量だけを増やして上の音を吹きました。確かに出るには出ます。でもどうしても力みます。息もすぐになくなります。
その時、
という思いが頭をかすめました。
これが例えばホルンのレッスンであったり学生時代であったら、とてもこれ以上質問を重ねることはできませんでした。
が、その時は自分の専門の楽器のレッスンを受けているわけではありませんし、自分でお金を払ってレッスンを受けているので腹を決めて食い下がることにしました。
すると、
はい、きました。
言質とりました。聞きました?
「少しは使ってるよ」
そう、これなんです。
この「少しは」が問題なのです。
その「少しは」が、力を入れたことのない人にとっては(結構力入れてるなあ)かもしれないし、(え、こんなに力使うの?)かもしれないんです。でも力を使うことが当たり前の人にとっては、あえて言うことでもないし、そもそも自然に使えているから気づきもしないし、気づかなければ「力なんていらないよ」になるわけです。
では息の力以外には何を使うのか?
こちらに詳しく書いていますが、
・マウスピースの押し付け
・息の出口のサイズ
・息の通り道(口の中の広さ)
これらをバランスよくうまく変えていくことで、ハイトーンは格段に出やすくなります。
なるべくマウスピースは唇に押し付けずに、のなるべくって?
これもまたよく話題にのぼるトピックです。
なるべくマウスピースは唇に押し付けずに高い音を吹く。
鉄の塊を口に長時間つけるなんてそもそも日常ではありえませんから違和感満載ですし、そりゃ押し付けないほうがいいような気はしますよね。
ただマウスピースのプレス(押し付け)に関して、最近では研究が進んでいて数字で出ていることをご存知ですか?
以下は世界的なホルン奏者ラデク・バボラクのプレスに関して。
世界的奏者のラデク・バボラク氏がhighFを演奏しているときのプレスは、約30N(ニュートン)だそうです。30N=約3kgです。3kgのプレスがどれ程かというと、仮に3㍑のペットボトルがあったとしてそれに水を入れ、顔を上に向け、手を離して唇に載せたくらいです。
3㍑のペットボトルを顔を上に向けて唇に乗せたくらい、ってかなりの重さですよね。彼って見た目にはすごーく楽々吹いているに見えるのに、そんな彼でもかなりしっかり押し付けて吹いていることが近年の研究によって判明しています。
少し前の記事ですが詳しくはこちら(関連記事:マウスピースは唇に押し付けちゃいけないと思っている金管楽器奏者が多い3つの理由)
この研究を知っている人から「マウスピースを唇にプレスしすぎです、なるべく押し付けないで」と言われたのであれば素直に聞き入れましょう。あなたの歯が心配です。
おわりに
「息の力だけで」と「なるべく押し付けずに」のこの2つに関して、ぼくが楽器を始めた何十年も前から、古今東西言われ続けていること。
そう言ってしまう人の気持ちもわからなくもない。でもでも、このアドバイスで悩む人が本当に多いんです。
なのでこれらの言葉で今でも悩んでいる人にどうしても知ってほしくて、ぼくがレッスンで話すことを書きました。言葉って難しいですよね。
◯◯であるべき、〇〇しちゃいけない、と制限をかけてしまうと不具合が出やすいんです。
それではまた。