ぼくにはこれまでずっと気になっていることがありました。
ただ吹いているだけの演奏と人に伝わる演奏、一体何が違うのか。
その問いにひとつの答えが出ました。
ひとつの答え、それは、
なぜその曲を演奏するのかを先に考える。
これが演奏前に演奏者の中にあるのとないのとでは、その後の演奏がまったく違うものになる事がわかったんです。
曲を演奏する技術に気をとられる→ただ吹いているだけ、だと思っていた
- このあと高音域だなあ、うまく吹けるかな
- 速いパッセージだな、大丈夫かな
- 音程難しいとこだ、合うかな
- いつも外すとこ、キメよう
こういう気持ちが演奏中に頭をよぎるとそこで音楽が途切れて、ただ吹いているだけの演奏になっているのかと、これまでは思っていました。
そうならないためには練習を積んでミスなく何度でも吹けるようにしなきゃいけない。。
でもこれって、
=パーフェクトな演奏でないと人には伝わらない、って自分に言い聞かせていたんです。
もちろんミスなく吹けることは大切です。速いパッセージもよどみなく、音程も合っていた方がもちろんいい。
でも順番が違ったんです。
なぜその曲を演奏するのか
何も考えずその曲を演奏するのと、
この曲のこういうところが好きだから、とかこういう風に吹きたい、と考えてから演奏するのでは、同じようで全然違います。
これだけで音楽のある演奏をする準備が整うんです。
想いを持って音楽する。
ぼく自身が思っていたよりも、ずっと前の段階から音楽は始まっていました。
- この曲が本当に好きだから
- 〇〇さんに聞いてもらいたくて
- こんな景色が頭に浮かぶ曲なんだ
こんな風な気持ちが演奏前にあると素敵です。
でもこれが
- ミスのないように
- はみ出さないように
- コンクールでやるから
- 仕事だから
になるとそこに音楽はなくて、ただ演奏しているだけになる。
ミスがなくて完璧な演奏であっても、そこになぜ演奏するのかというのがなければ、人には伝わらないしどこか機械的な音楽になる。
それに比べて想いがあって演奏すると、ミスしてしまっても、本当にこの曲が好きで吹いていた中でミスがあった、と全部含めて音楽の一部になる。
ミスなく完璧に演奏できて、その先にしか人に伝わる演奏しかない。って思って自分の首を絞め続けるよりよっぽど健康的で、あたたかくて前向きな気持ちになる。
全部ひっくるめてあなたの演奏、あなたの音楽。
おわりに
音楽がある演奏になる境目はひとつ。
どんな想いを持って演奏するか。
当たり前で簡単なことなんだけど、つい忘れてしまう。譜面を開いたとき、楽器をだしたとき、水を抜いているとき。。
一瞬でも考えるだけで、あなたの音楽がもっと豊かになります。
それではまた。
[…] 関連記事:「それ、ただ吹いているだけだよ」と言われるあなたへ。人に伝わる演奏とはこういうことだ! […]