ホルンのマウスピースの選び方のコツとポイント

ホルンのマウスピースにはたくさんの種類があります。
今回は、たくさんの種類の中からどういうマウスピースを選べばいいのかを、マウスピースの特徴や傾向も含めて紹介していきます。

今のマウスピースは気に入ってますか?
どうやって選びましたか?

道具なんてなんでもいいと言う人もいます。
でもマウスピースで自分の苦手な部分を補えたり、長所を伸ばせるとしたらどうですか?

少しでも自分に合うマウスピースを見つけた方が幸せですよね。

この記事ではホルンのマウスピースの選び方から基本的な情報までを、どこよりも詳しく解説します。

マウスピースを選ぶときのポイント(初心者向け)

マウスピース選びのポイントを紹介します。

唇にあてた感じが心地いいこと

マウスピースを当てたときのフィット感は重要なポイントです。
とがっていて刺さる感じがして痛いだとか、当たった感じが気持ちいい、ぴったりマウスピースが唇にくっつく、などマウスピースによって当てた感じは違います。

マウスピースを口に当てた時点でしっくりこないものは無理して吹かない方がいいです。当てた感じの直感で、吹けそうにないなあと感じることもあります。

低音域から高音域まで平均して鳴ること

どの音域も吹きやすいマウスピースがおすすめです。
吹いた時点で鳴りにくい音域があるな、と感じるマウスピースは避けましょう。

ボアやカップが極端に大きかったり小さかったり、浅すぎたり深すぎるマウスピースは避けること

まずマウスピースを自分で選ぶときは、中ぐらいの大きさで、自分の唇に合ったマウスピースを選びましょう。
初心者の場合、間違ったマウスピースを選ばないためにも経験のある先生に相談しましょう。

初めてマウスピースを選ぶときにおすすめのマウスピース

ティルツ     S8
マックウィリアム 2
シュミット    8
アレキサンダー  8、8M、 21、22

このあたりが中庸でおすすめのマウスピースです。

マウスピースのシャンク

マウスピースの楽器にさす部分を「シャンク」と言います。
シャンクには2種類あり、自分が使っている楽器のシャンクタイプとマウスピースのシャンクが合っていないと、マウスピースを楽器にはめたときにガタついたり、奥まで入り過ぎたりしてしまいますので、楽器に合ったシャンクを選ぶ必要があります。

2種類のシャンクには、アメリカンシャンクヨーロピアンシャンクと名前が付いています。

 

ざっくり言うとアメリカンシャンクはアメリカの楽器に合うように設計されていて、ヨーロピアンシャンクはヨーロッパの楽器に合うように設計されています。

マウスピースは同じモデルであっても、ヨーロピアンシャンクと アメリカンシャンクの両方のシャンクのマウスピースがあることが多いので、選ぶときは自分の楽器に合ったシャンクのマウスピースを選ぶよう気を付けよう。また、ものによってはどちらかのタイプしかないマウスピースもあります。

次に紹介するのはシャンクごとの大まかな楽器のメーカーです。

ヨーロピアンシャンク

楽器
アレキサンダー、シュミット

マウスピース
アレキサンダー 、ティルツ 、 JK

 

アメリカンシャンク

楽器
ハンスホイヤー 、ヴェンツェルマインル、ホルトン、コーン、ヤマハなど

 

マウスピース
ヤマハ 、ホルトン 、 コーン 、 シルキー 、 バック 、 ラスキー

 

ドイツ製の楽器でもハンスホイヤーやヴェンツェル・マインルはアメリカンシャンクです。
ヤマハもアメリカンシャンクです。

シャンクの判別方法

お店の人に聞けばわかりますし、実際に刻印されているマウスピースもありますが、実際にシャンクが楽器と合っていると、ぴったりはまります。

FullSizeRender

 

はまっていないとこんな感じです。

FullSizeRender 3

だいぶでているのがわかりますね。
全然はまっていない状態です。
ガタつくのでわかりやすいです。
シャンクが合わないマウスピースで吹いてる人って意外と多いので気を付けましょう。
若かりし日のぼくのことですが!

「そのマウスピース、楽器にうまくはまっていないよ」と言われた日のことは今でも覚えています。

 

ちなみにあまりないことではありますが、はまりすぎるとこうなります。
ダメなわけではありませんが、距離感が近くなりすぎるので吹きづらいかもしれません。音程も高くなる傾向があります。

FullSizeRender 2

シャンクがあっているかどうかはこんな風にパッと見て分かります。

マウスピースの種類と特徴

ホルンのマウスピースには大きく分けて2種類のタイプがあります。

VカップとUカップです。

ダブルカップなど他にも種類はありますが、今回は基本的なこの2つを紹介します。

まずは見分け方から。
これは見た目でも大抵の場合分かります。
マウスピース

左のシュッとしてるのがVカップ。
右のころっとしているのがUカップ。

多くのマウスピースは見た目で判断できますが、例えばぼくが今使っているStork Francis Orval Model 06というマウスピースは、見た目はころっとしているのにVカップなので、中ものぞいてみましょう。
マウスピースころっとしているんですが、中を見てみると

シュッ!としていますね。
見た目だけで判断できない場合もあるので、中ものぞいてみましょう。

 

それぞれの特徴を紹介します。

Vカップ

マウスピースの中の形がVになってます。

  • 中がまっすぐな分、抵抗が少ないので息がスコーンと入ります。
    アタックが苦手な人はVカップのマウスピースだと息がスパッと入るので、アタックがはっきり出やすいです。
    ぼくもアタックがはっきりしない時期にかなりお世話になっていました。
  • 低音が楽。
    息がスコーンと入るので、ズドーンと低音出やすいです。息いくらでも入っちゃう。
  • 高音はどちらかといえば出にくい。
    高音はある程度の抵抗が必要になるんですが、Vカップだとあまり抵抗がない分、不安定になりやすいし、自分で抵抗を作る必要があります。
  • Uカップに比べるとスラーがかかりにくい。
    息が直線的に入り抵抗が少ない分スラーがやりづらくなります。

大まかん傾向として、Vカップはタンギングはスムーズになるけど、スラーはやりにくくなります。
高音よりも低音の方が出しやすいです。

Uカップ

マウスピースの中の形がUになってます。

  • Vカップに比べると程よい抵抗があり、息が少し入りづらくなります。
    少し詰まった音色になりますが、それをやわらかい音色に感じます。
  • 高音が当たりやすくなりますが、Uカップは息の反射がマウスピースの中で発生するので高音がひっくり返りやすくなります。
  • 息を入れると適度に抵抗があるので、スラーをかけやすくなる。
    断然Vカップに比べるとスラーがかけやすくなります。リップスラーめっちゃやりやすいです。
  • Vカップに比べると、アタックははっきりしなくなる。
    アタックが強すぎると感じている人はUカップにすると、Vカップに比べ抵抗があるので、アタックゆるくなります。

どちらかというとUカップのマウスピースを使用しているホルン奏者が多いです。

そのせいかVカップに比べ種類も多いです。
だからと言って必ずUカップがいいってことでもないので、吹き比べて自分に合うものを選びましょう。

マウスピースの構造

なんとなく自分はVカップかUカップかどっちがいいか考えてみましたか?

次はマウスピースの構造です。
大きさや厚みがマウスピースによって違うので、VカップかUカップか決まった後にもまだまだ選ぶ必要があります。

ホルンのマウスピースの断面図です。

マウスピースの断面図

A.外径 

悩まなくて大丈夫です。

B.内径

狭いほど高音域の演奏が楽で疲れにくくなる。その分音量は小さくなる。
広いほど低音域が楽に出て音量も増えるが、バテやすくなる。

広くもなく狭くもない内径は、平均値でいうと17.5です。17.5を基準にしてそこから大きくするか小さくするか考えてみるといいと思います。

C.スロート(ボア)

音色に影響があります。
息の通り道の一番細くなる部分です。
ここが太めだと息が多くはいり太い音色になり、音がぼやけやすくぬけにくくなります。

細めだと息はあまり入らない分、高音域を吹くための高い息の圧力が必要な場合などに吹きやすくなる。細すぎると音がかたくなります。

スロートの平均的な大きさを4.0です
ここから「もうちょっと息が入ったら吹きやすいな」とか「もうちょっと細めかな」とか考えていきましょう。

D.カップ(深さ)

浅いと高音域が出やすいです。浅すぎると響きが薄くなります。

深いと低音域出やすです。深すぎると響きが暗くなります。

E.リム

口に当たる部分のことです。
厚いリムだと唇に当たる面積が広くなるので高音域が楽になり長時間の演奏が可能になります。
ただ、固定される分唇の自由度がなくなり柔軟性が失われます。

薄いリムは、音のコントロールが楽になり幅広い音域をカバーできます。
薄い分、リムが唇に食い込んでしまい疲れやすくなります。

丸みをおびたリムは柔軟性があり、持久性もほどほど。
口当たりいいです。

平たいリムは、持久力は増すが柔軟性にちょっと難あり。
口当たりはペタッとして安定します。

リムの内側 : とがりすぎていると、スラーやレガ一トがやりにくくなります。
丸すぎると発音がはっきりしなくなります。

マウスピースの選び方

大切なことを最初に話します。

なんでも吹けるようになる完璧なマウスピースはこの世に存在しません。

どんなマウスピースでも必ずメリットデメリットが存在します。
それをふまえてこれを考えたらいいんじゃないかな!を提案しますね。

自分の演奏がどうなったらもっと楽しいか

スラーは得意だけど、どうしても音の出だしがはっきりしない人は、Vカップのマウスピースを使ってみるのがおすすめです。

Vカップにすればアタックがはっきりする分スラーはやりづらくなりますが、そこはもともと得意なのでカバーできます。

 

音の出だしははっきり出るけど、いつもはっきりですぎちゃう。
スラーも苦手。
今Vカップを使ってる。
それならUカップを試してみる価値ありです。

 

Uカップを長い間吹いているとどうしても最初はVカップは吹きづらいです。
その場合はカップの深さやリムの内側、そんなところでマウスピースを選んでみるのもおすすめです。

 

長々と話してきましたが判断基準は、

自分に合った吹き心地
好きな音色
短所を補うか長所を伸ばすか

吹いてみないと判断ができません。
マウスピースを選ぶときは大きさだけで判断してネットで注文するの避けましょう。

できれば楽器屋さんに電話をしてマウスピースの在庫を調べて吹かせてもらいましょう。

なるべく1人では選びにいかずに、専門の先生、それが難しければ先輩でも友達でも、誰かと一緒に行った方がいろんな意見が聞けるのでおすすめです。

 

ヤマハのホームページにホルンのマウスピースのメーカーごとの主なマウスピースの値段、大きさ、サイズが載っているので参考にしてください。

めちゃわかりやすいです。

ヤマハミュージックリテイリング ホルンマウスピース

 

ぼくは自分が使っていた経験も含めて生徒のマウスピースを選ぶときは、

ティルツ S8
シュミット 8、85
マックウイリアム 2
アレクサンダー 8、21、22

このあたりから試してみることが多いです。
どれもおすすめのマウスピースです。
自分に合ったアウスピースのサイズがわかったら、そこを基準に同じ大きさで別のメーカーのマウスピースを試してみる方法もおすすめです。

内径の大きいマウスピースに替える際に起きること

内径を変えるといっても1mm以下の変更になる事が多いと思いますが、それでも随分違うことを感じるはずです。とっても繊細な世界ですよね。

以前よりも内径の大きいマウスピースに変更すると、マウスピースの中の唇が以前より自由になるのでリップスラーがしやすくなると思いますし、大きな音も出しやすくなるでしょう。

そこで試してみてほしいことは、アンブシュアをつくる唇の緊張をいつもより意識して増やしてみることです。内径の小さいマウスピースの感覚のままで演奏すると、今までマウスピースに息をまとめるのを任せていたこともあり、アパチュアが開きやすくなり、コントロールが効きにくくなり、バテやすくなるように感じるはずです。ピアノの音量での演奏もしずらくなると思います。

ここを知っておくと、大きめの内径のマウスピースで吹くときにすんなり吹けるようになりやすいです。

終わりに

いかがでしたか?

カップの種類、深さ、大きさ、リムの厚み、様々な要素があって奥が深いです。

でも一番は吹きやすさです。
まずはカップを選ぶところから。

 

はっきり音が出したいならVカップ。

やわらかい音が出したいならUカップ。

唇が厚い人は内径は大きめのものが吹きやすいです。

 

自分に合う吹きやすいものを見つけていきましょう。

自分に合ったマウスピースを選んで、毎日さらに楽器が楽しく吹けますように。

 

 

それではまた。

 

 

関連記事
ホルンのマウスピースをUカップ(Alexander21)からVカップ(Stork Francis Orval Model 06)に換えてみて感じていること

マウスピースが小さい楽器を吹くにあたって、唇が分厚い人は不利なのか問題

Twitterでごんざを  

エールを贈る

9件のコメント

ホルンのマウスピースについて詳しく分かりやすく記事をありがとうございます。
ずっとアレキサンダーの8Mを使っていますが、違うタイプのマウスピースを使ってみたくなりました。
ところで8Mをよく観察してみてもインターネットで調べてみてもVカップかUカップか分かりませんでした。これは、どちらなのでしょうか。
教えて頂けますと幸いです。
よろしくお願いします。

コメントありがとうございます。アレキサンダーの8Mは私も使っていたことがありますが、Vカップのマウスピースです。

さっそくのお返事ありがとうございました。
Vカップだったのですね。
今度Uカップを試してみます。

ホルンのマウスピースの事でわからなくて困っていました。
高一の息子が、レッスンでマウスピースを変えた方がいいと言われたのですが、二件の楽器屋さんに問い合わせたところ、先生に言われたマウスピースがなく、試奏する事が出来ません。
お勧めされたのは、
アレキサンダー 22
JK 2CM
JK 1EDM
の三種類です。
径が18mmで、カップが深目の方がいいとの事です。
楽器屋さんの在庫は
アレキサンダーMY15
JK 2DM
の二種類だそうです。
お勧めのマウスピースをインターネットで買うのもどうかと思い、すでに3週間程経ってしまいました。
お忙しいところ、大変申し訳ありませんが、アドバイスして頂けると助かります。

長谷さんこんばんは。
コメントありがとうございます。
どういったことにお困りでしょうか?
レッスンについていてマウスピースを勧められたのでしたら、そのマウスピースをそろえた方がいいと思います。
楽器屋さんに事情を話せば取り寄せてもらえると思いますよ^^

ご回答ありがとうございます。
楽器屋さんに、試奏したい旨を説明したのですが、取り寄せてもらえませんでした。
学校に余っていたマウスピースがいくつかあったらしく、昨日のレッスンで先生に見てもらったところ、一ついいものが見つかりました。
型番などは聞いてないのですが、息が入りやすく、すごく吹きやすいとの事でしたので、とりあえずよかったかなと思います。
また、わからない事があれば、教えて頂きたいので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。

先日、中学校の吹奏楽部に入った娘が、ホルンパートになりました。
楽器を学校で借りて、マウスピースを新しく買うようなのですが、私自身、ホルンを吹いたことがないためわかりません。
初めてのマウスピースはどのようなものが良いでしょうか?
お忙しい中申し訳ございませんが、アドバイスをいただけると幸いです

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です