ハイトーン苦手な人はまずこれ!シラブルを理解して取り組む「おしゃべリップスラー」

長い不調のトンネルを抜けた話

どうもごんざです。
話している人には話しているのだけど、コロナが始まるちょっと前からこれまでずっと、調子を崩していました。

隠すことでもないし聴けばわかることだから、レッスンに来てくれている人にはほとんど言っていなかったけど、それはもうひどいものでした。

 

ひとつの音を吹く分にはだいたい問題ないのだけど、少し長いフレーズになると音がうまく繋がらない、ロングトーンができない、ハイトーンは難なく出るけれど中低音は吹きにくい。ひとつの音を吹く分には大体問題ないとは言いつつ、時折音の出だしでコントロール不能になり、ぶるっとアタックがうまくいかなくなる。

いろいろ試したしレッスンにも行ってみたけど、何が原因かさっぱりわからない。そしてどうやらジストニアではなさそう。

 

そんな状態が5年くらい続いていました。

 

その間、たまにいただく演奏の依頼はお断りさせていただきつつも、レッスン活動は精力的に行っていたので、ここ5年くらいの間に権左のレッスンに初めて来た人は(この人全然吹けんやん)て思った方も多いはず。そこにがっかりしてレッスンに来なくなった人も実際何人もいたと思います。心当たりもあります。

 

そんな状況でレッスンをしているのは正直なところ、つらかった。

ただ、レッスンの経験は積ませてもらっているので、精度は上がっていきました。レッスンにきてくれた方のキラキラした笑顔を見れることは増えたので嬉しいのだけれど、レッスン能力と演奏能力の乖離もそれはそれで苦しいものがありました。

 

でもここにきてようやく、本当にようやく不調のトンネルを抜けることができたんです。

長かった。本当に。

 

不調にはいくつもの要因があり、気づいてしまえば容易に改善できることも多かったのだけれど、自分のこととなると本当に気づかないもので。。フタを開けてみると、結果的には4つほど不調の要因がありました。

不調によるモチベーションの低下

不調を抱える多くの人が言うように、ぼくの元へも不調は気付かぬうちに忍び寄ってきました。

最初は、

なんか吹きにくい気がするけど、まあ大丈夫っしょ

と特に気にもしていませんでした。

不調に悩まされるようになってから改めて思ったけど、この時点で気づける人は多分ほぼいないし、深刻に捉える人もいないと思います。最初はそれくらいの不調。

そこから、どんどん吹けなくなっていきました。

 

そうなってくると次に起こることって、モチベーションの低下なんですよね。

ここで向き合えればまた違ったんだろうけど、不調になった頃はコロナ渦の真っただ中で仕事もほぼなかったこともあり、ぼくは目を背けました。時間は山ほどあったのに、です。

今のところ本番の予定もないし、まあいっか

はい、最低です。

人は励ましているのに自分のこととなると目を背ける。言ってることとやってること矛盾しまくり。この頃もレッスンに来てくださっている方もいるのに。

戻れるならこの時に戻って自分をぶん殴ってやりたいです。

 

ただ、そんな中でも時は過ぎていくわけで、レッスンも続けていきます。

思うように吹けないことを除いては、割と順調ではありました。

吹けなくても、レッスンがうまくいくならこれでもいいのかな

そんな風に諦めている自分と、でも本当はそう思っていない自分。いつも葛藤していました。

 

ある時、プロの先輩がレッスンを受けに来てくれたとき不調の話をちらっとしたら、

“先輩”
これだけレッスンできるなら、自分にも同じようにレッスンすればいいのに。

と言われたこともありました。
その時は流してしまったけど、今思えば本当にその通りでした。今になって感謝してます。あの時はありがとうございました、先輩。

舌を常に噛んで吹いていた

ここから不調の要因と、それらとどう向き合っていったかの話になります。

あれ?これが不調の原因では?と気付いたきっかけはどれも、ある日突然に、でした。

 

その日も不調にまみれながら家でさらっていました。もうね、不調に慣れてくるといつ吹いても不調なわけで、不調が普通になってくるんですよ。

そんな中突然、

あれ、これまで気付かなかったけど、いつも舌噛みながら吹いてないか?なにこれ

って気づいたんです。

え?舌を噛みながら?どういうこと?と思いましたか、そうですよね。わかります。

 

自分自身なぜだかわからないし、いつからそう吹いていたのかもわかりません。

ですがホルンを吹いているとき、舌の左右を上下の歯でしっかり噛みながら常に吹いていたんです。

 

暇なときに試してみてほしいのですが、舌を噛みながら吹くと、その舌の位置で吹ける音は普通に吹けますが、そこで吹ける音域はごくごく限定的ですし、というか舌を下げることができないので中低音なんて出るわけがないし、よくもまあこれで吹いていたな、という状態。

舌を噛まないように、で解決

脳は否定を理解できない、と一般的には言われていますが、舌を噛んで吹いていることに気づいてから(舌噛まないでも吹けるよね)と思いながら吹いたら、噛まずに吹けました。

まだ今でも時折知らないうちに舌噛んでいることもありますが、すぐ気付けて直せてるので概ね解決。

噛まなければ舌は自由になるわけで、それはそれは吹きやすくなりました。なんで噛んでたのか誰か教えて。

 

これまで何人もの方とレッスンしてきましたが、こんな状態の方とぼくは会ったことがありません。奇しくもこれでまたレッスンの引き出しが増えたわけです。ということにしておきましょう。

歯の隙間?から頰に空気が抜けるように

ただでさえ不調にまみれているのに、2024年の春から歯医者に通い始めたところ、治療の影響なのか、楽器を吹くと左上の奥歯の隙間から息が漏れて、左頰が膨らむようになりました。

頰が息で膨らむと口腔内の空気圧が変わるからか、とんでもなく吹きにくくなって、ロングトーンできなくなりました。加速する不調。

 

漏れる息はほんのわずかで、圧をかけなければ歯の隙間から息が漏れることはありませんでしたが、だからと言って圧をかけないように吹く、ではあまりにデメリットが多く、解決には到底及びませんでした。増える悩み。

密着の角度の調整と口輪筋で解消

どうにかならないかなあとほっぺたを膨らませないように意識してみましたが、うまくいきませんでした。意識したところで歯の隙間は埋まりません。

マウスピースを気持ち左に傾けて密着させることを意識するのと、口輪筋を意識して使うことで頰の裏側でうまく隙間にフタができたのか、息の侵入を抑えることができました。

 

この経験から口輪筋の大切さを再認識。

唇

楽器を吹くモチベーション

少しずつ改善してきたとは言っても、まだまだ全快にはほど遠く。

そんな時、普段家で吹いていたアレキのBシングルを2024年末に管楽器調律してもらったんですね。

そうしたら本当にびっくりするくらい楽器が吹きやすくなって。不調はまだまだあったけど、楽器を吹くのが楽しくなってモチベーションがすごく上がりました。

モチベーションてほんとに大事。

不調脱却はこの燃料投下があったから、とさえ言えます。もっと早く行けばよかった。ありがとう管楽器調律。ありがとう西部さん、ありがとうございます是澤さん。

唇の振動する場所

これは楽器によっても違うし、人によっても違うことなんですけど、唇の振動する場所って本当に大事。

それに関係するのがこの記事。

かなり反響があって、実際レッスンでも大きな成果をあげています。

もともとアパチュアが開いているところにマウスピースを当てて吹いていたぼくにとって、とんでもなく大きな変化をもたらした吹き方。これによって本当にたくさんのことが解決しました。

 

が、

 

が、ですよ。
ちょっと単純に考えすぎていました。

それまで、

  • アパチュアが開いているところにマウスピースを当てて吹くと、唇の少し内側を使う。
  • アパチュアが閉じているところにマウスピースを当てると、唇の表面側を使う。
  • アパチュアが開いているところにマウスピースを当てて、息を吸って吹き始める直前にアパチュアを閉じる吹き方もあって、その時は割と唇の内側を使う傾向にある。

 

と、これくらいに思っていました。

 

でもあるとき、これもたまたまだったんですけど、いつも通り唇が閉じているところにマウスピースを当てて吹く際、偶然いつもよりほんのわずかに下から、唇のいつもの場所にマウスピースを当てて吹いたら、劇的に吹きやすくなったんです。

 

唇が閉じているところにマウスピースを当てるんだけど、ほんのわずか上唇をマウスピースで持ち上げて吹く。

文章にしてみると、そりゃまあそういう吹き方もあるよねって感じなんですが、自分の視野の狭さ、考えのいたらなさに悲しくなりました。でも気づけたからよし。

息の向き

最後のピース。

レッスンをしていて、見えないところこそ大切だなあと強く思うようになって、それまでは必要に応じてホルンの2番管の輪っかをビジュアライザー代わりにしていたんですがちょっと不便だったので、最近ビジュアライザーを2種類購入したんですね。

最初にこれを購入しました。

他の楽器のビジュアライザーは樹脂のお手頃価格のがあるのに、ホルンはなぜだかなくて、なんだか作りもお値段もとてもしっかりしたやつ。写真で見えてるリム部分は平らですが、裏はちゃんとまるっとしてて、唇に当てた感じがマウスピースと同じでよかった。

もう一種類がこちら。
3Dプリンターで作ったんですって。
便利な世の中。

雑談はさておき。

 

2個目のマウスピースタイプのビジュアライザー、これ何がいいって楽器に付けれるんですよね。でもまあ、

“失礼な人”
(だからなに)

て思ってました。使ってみるまでは。

楽器に付けれるからって何かが変わるわけでもないし、いらなかったかなあと思いつつも楽器にビジュアライザーを付けて、いつも通り構えて息を流してみたんですね。

そうしたら息が唇からまっすぐ出ていることに気付いたんです。

あれ、ごんざはアンブシュアタイプ(超高位置)的には息の向きは下なはずでは…?

と気づき、ほんのわずか意識して息の向きを下にしてビジュアライザーを吹いてみたんです。すると、唇がとても振動しやすくなりました。

(いや、まさかね。これでよくなるとかないよね。)と思いながらビジュアライザーをマウスピースに代えて吹いてみました。

 

そしたら。

 

そしたらですよ。

 

 

楽に吹けたんです。

ここ数年感じたことがなったくらい楽に。楽器にビジュアライザー付けれるって!大事!これ作った人すごい、ありがとう。

 

 

まさか嘘だろう、と思っていろいろ吹いてみました。何度やっても突っかかるあのフレーズ、あの音域、リップスラー。

 

吹けました。
しかもびっくりするくらいいい音で(当社比)

 

 

 

しばらく言葉が出なかったです。

 

 

最後のピースは、アンブシュアタイプに合った息の向きでした。

息の向きって変えようとすると、唇の合わせ具合が変わるんですね。で、息を下向きにするにあたって、下唇を巻き込むというよりは、ほんのわずか上唇を前に出す、くらいの感じ。見た目ではほとんどわからないくらい。

 

息の向き。
知識として知ってはいたはずのに、試したことなかった。できることはすべて試したと思っていたのに。

関連記事:金管楽器の3つの基本アンブシュアタイプ

おわりに

この話、正直書くかどうか大いに悩みました。

けどこれでまたがんばれそうだから。自分の音が好きになれそうだから。ちょっと泣きそうになるくらい嬉しかったから。

書きました。

いろんなことで悩むことって誰しもあると思うんです。ぼくだってそう。とは言え、これを読んだあなたがどう思うかわかりません。でもそれでも書きたかった。

不調の原因がわかって吹き方をかなり修正したので、これに慣れるにはまだ少し時間がかかりそう。でももう大丈夫。そう思えるようになりました。

 

 

不調のトンネルを抜けたら、調子を崩す前よりも多くのことができるようになっていました。不調の時に試したいろんなことは無駄ではなかったみたいです。

 

これをきっかけに、いろんなことが良い方向に向かっていくんじゃないかと、そんな気持ちに今はなっています。

 

 

 

 

 

自分の音がかえってきた。

おかえり。

 

 

 

 

 

 

それでは、また。

\Xでごんざを  

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