毎年10月頃になると、中高生で初めてアンサンブルに取り組む生徒や関わる顧問の先生が、頭を悩ましているのを見かけることが多いです。
経験者からすれば「合奏もアンサンブルもやることは変わらないよね」となるのですが、それが中高生でこれまで吹奏楽の合奏しか体験していないと勝手が違うんじゃないか、と当時を思い出して考えます。
では一体何を違うと感じやすく、どうすればいいのか?
そのあたりを掘り下げていきます。
目次
自分たちでテンポを感じ、共有し、持ち続ける
指揮者がいない状態でアンサンブル、1番の違いはテンポに関してです。
経験が増えれば、「指揮があろうがなかろうが自分たちでテンポを感じる」ことは当たり前ですが、まだそこまでの経験がなければ、自分でテンポを持つor感じる前に、指揮者のテンポに合わせる方をはやく経験するでしょう。
事実「指揮を見ろ!見ないから合わないんだ!」なんていう人もいますし。(関連記事:演奏するとき指揮者のこと見すぎてない?)
その指揮者がいない状況での演奏。
誰も何も教えてくれなければ、テンポはゆるゆるのだるだるで、音の出だしはそろわず、散々な演奏になるでしょう。(関連記事:指揮なしでのアンサンブル初心者は、合図の出し方とテンポの共有ができなくてつまずく!)
テンポを自分の中に取り込む
たとえ楽譜に白玉の音符が多くても、いつもテンポを頭の中で刻みながら演奏することがまず1番大切です。(本当は合奏でもやっていてほしいことです)
ここでみんな同じテンポを共有していないと、タテはズレズレでメリハリのない演奏になります。みんなでテンポを確認をし、遅くなるところや速くなるところ、テンポの変わり目をまずは楽器なしでみんなで歌ってみて、「こんな感じのテンポはどうだろう」と相談してみましょう。
なんとなくこんなもんだろ、で演奏をすると、なんとなくの演奏にしかなりません。
みんなの「こう演奏したい!」が音楽の推進力になる
言葉で表すのはなかなかに難しいのですが、各パートを「こう吹きたい」と思ってみんなが演奏することで、音楽をイキイキさせ、前に進む推進力になります。
みんなの持つ「こう吹きたい」「ここはこういうイメージ」がうまく演奏に現れると、それがアンサンブルになります。
楽譜通り演奏していれば、あとは上手に味付けをしてくれる普段の合奏とはここが違います。(もちろん、各々のやりたいことがうまくブレンドされている合奏もありますよ!)
スコアを読み込む
合奏などで人数が多いと、なんとなく一人一人の責任や存在が薄れてしまうように感じますが、小編成のアンサンブルではより一人一人が重要です。
合奏では楽譜通り吹ければ、あとは指揮者が味付けしてくれるかもしれませんが、アンサンブルではそうはいきません。もっともっと曲を理解し、楽譜を読み込む必要があります。
音量は絶対的な音量ではなく相対的な音量で
全員の楽譜に「p」と音量が書いてあったとしても、メロディーが「p」で吹くのであれば、他のみんなはメロディーが聴こえる音量で吹く必要がありますから、必然的にメロディー以外はもっと小さい「p」になります。
ここがアンサンブルの難しいところ、というか醍醐味です。
もちろん合奏でも同じことは言えますが、音量表現の幅は自分の楽器を基準とした「絶対的な音量バランス」ではなく、全体のバランスを見ながらの「相対的な音量のバランス」になるのです。
ここが欠けていると、演奏を聴くとメロディーが埋もれているのに「え?pって書いてあるから(各々が思う)pで演奏してますけど?」みたいな演奏になります。そうならないためにも、その曲のスコアはみんなが持ち、研究するといいと思います。
スコアを見て、「あれ、この楽器だけ「<」が書いてあるぞ」とか「みんなで「f」となっているけど、この楽器のこの音が1番聴こえたいな」とか、そういう風に楽譜が見えてくると、アンサンブルの楽しさが増します。
関連記事:
譜読みが圧倒的にスムーズになる9つの手順、
楽譜をなぞるだけの音楽は苦しい、ひとりひとりの色を重ねる音楽は楽しい
吹奏楽コンクールの演奏が「合わせる、そろえる、整える、はみ出さない」だけにならないための3つの提案
おわりに
- テンポをみんなが持ち、共有すること
- 楽譜、スコアをよく読み込むこと
この2つをより深くやっていきましょう。それだけで見える世界が変わってきます。
アンサンブル、慣れてくるとめーっちゃ楽しいんですよ。それを知れるせっかくのチャンス、楽しみましょ。
こちらの記事も合わせて読んでみてください。
小編成アンサンブルを素敵に演奏するために必要な22のコツと合わせ方
それではまた!
コメントを残す